高まる尖閣有事リスク
日本の安保は試練の時代へ

 北にロシア、西には北朝鮮、そして南西には中国と、いずれも核保有国を抱えた日本は今後、安全保障面で試練の時代を迎える。

 いざとなれば、日米安全保障条約に基づき、アメリカは手助けしてくれるだろうが、アメリカのシンクタンク、ランド研究所の予測などでは、「尖閣諸島が攻撃を受ければ5日間で制圧される」との見方もある。

台湾有事 米中衝突というリスク『台湾有事 米中衝突というリスク』
清水克彦 著
平凡社新書
税込946円

「ロシア軍のウクライナ侵攻は、中国が台湾を侵略するシナリオを現実的なものにした」

 これは、安倍政権で外相や防衛相、菅政権で沖縄担当相などを務めた自民党・河野太郎の言葉だが、筆者は台湾と並び「尖閣諸島」も加えたい。

 自民党の安全保障調査会は11日、敵のミサイル発射拠点を直接たたく「敵基地攻撃能力」について議論し、参加者から名称を「自衛反撃能力」などに変更する案などが出された。あの共産党ですら、志位和夫委員長が「有事の際には自衛隊を活用する」と語らざるを得ない時代である。

 政府は今年末をめどに「防衛計画の大綱(大綱)」と「中期防衛力整備計画(中期防)」の改定を目指す方針だが、名称うんぬんよりも中身の議論を急ぐべきである。

(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師 清水克彦)