コロナ禍のリモートワークなど生活スタイルの変化により注目されたのが、資産形成に対する関心が高まったこと。特に、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISAの口座開設が急増した。そんな状況の中、つみたてNISA本の決定版ともいえる『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)が3月16日に発売。本連載では、つみたてNISAを利用して長期投資や資産形成をしてみたいという人に向けて、失敗しないつみたてNISAの賢い選び方・買い方について、同書から抜粋して公開する。「つみたてNISAってなに?」という投資ビギナーの人でも大丈夫。基本的なところからわかりやすくお伝えしていくので、ぜひ、お付き合いください。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ。
「一般NISA」は、株式投資の軽減税率を廃止する代わりに設けられた?
ここからしばらくは、つみたてNISAがなぜ導入されたのか、そして、なぜおすすめするのかをご説明したいと思います。
ここではつみたてNISAと、それ以前から始まっていたNISAとの区別を明確にするため、2014年1月から導入されたNISAを「一般NISA」とします。
まず、一般NISAという制度が2014年1月に登場した時、資産形成に対する関心の高い人たちの間では、相応に話題となりました。年間の非課税枠は100万円(2016年より120万円)で、非課税期間は5年間。投資可能期間は2014年から2023年までの10年間で、これによって最大600万円(当初500万円)の投資元本から発生した投資収益が非課税になるというものでした。
ちなみに、一般NISAを通じて投資できる対象は、個別株式と株式投資信託に限定されています。また、個別株式と同様の扱いとして、ETF(上場投資信託)とJ-REIT(不動産投資信託)も一般NISAの対象です。
一般NISAという制度が誕生した理由はいろいろありますが、よく言われるのは、「株式投資の軽減税率を廃止する代わりに設けられた、資産形成を目的とした非課税制度」というものです。
株式の売買益に対する税率は、2003年から10%という軽減税率が適用されました。この理由は、株価の低迷が続いていたことから、株式市場に投資家を呼び込むためだったと考えられます。その軽減税率はあくまでも時限立法だったのですが、国内株式市場の低迷が長期化したことから1年ごとに延長が繰り返され、結果的に2013年まで軽減税率が適用され続けました。
そして2014年1月から、株式の売買益に対する税率は、それまでの10%から20%に引き上げられました。これによって株式市場の商いが落ち込み、再び株価が低迷することが懸念され、その対策として一般NISAが設けられたという説が、まことしやかに言われています。