ホンダPhoto:Bloomberg/gettyimages

ホンダの早期退職プラン「ライフシフト・プラン(LSP)」の応募者が当初予定の2.5倍に相当する2500人に達していたことが分かった。ダイヤモンド編集部では、ホンダの人事関連資料を入手。LSP対象者を含む退職者約3000人の出身母体を洗い出し、特に人材流出の多い「リストラ標的20 拠点」を炙り出した。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

トヨタ並みの8兆円投資を表明
野心的な電動化計画と並行して進む構造改革

 自動車などハードウエアの「売り切りビジネス」から、ハードとソフトウエアを融合させた「付加価値アップ&サービス」で稼ぐビジネスへーー。4月12日、ホンダは四輪電動化ビジネスの説明会を開催し、電動化・ソフトウエア領域を中心に研究開発費8兆円を投下する方針を宣言した。金額はトヨタ自動車の電動化投資に匹敵する規模だ。

 この野心的な計画と並行してホンダ社内で進められているのが、大リストラを伴う構造改革である。

 2021年7月末〜22年3月末にホンダを去った退職者数は、実に約3200人に上った(依願退職のみの人数)。その大半が早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」を利用している。LSPは、55歳から65歳未満の日本の正社員を対象に、社員の世代交代を図る目的で導入された。

 ホンダが当初見込んでいたLSPの利用者数は1000人程度。ところがふたを開けてみれば、みるみるうちに希望者が殺到したことで「依願退職者3200人のうち2500人以上がLSP対象者」(ホンダ社員)。ホンダ経営陣の想定の2.5倍に膨れ上がった格好だ。

 2500人といえばホンダの国内正社員の約6%に相当する規模だ。近年、パナソニックや全日本空輸など早期・希望退職者を募った大手企業は少なくないが、その中でもホンダの希望者数は図抜けて多い。今回のプランでは割増退職金が多めに加算されている。仮に、1人当たりの退職一時金(退職金と退職割増金)が4000万円程度だとするとホンダは1000億円ものコスト負担となる計算だ。

 大量の人材流出とコスト負担という犠牲を伴うリストラ策が実効性のあるものになるのかどうか――。それを検証するために、ダイヤモンド編集部ではホンダの人事に関する内部資料を入手。LSP対象者を含む退職者約3000人(21年7月末〜22年3月末までの依願退職者)の出身母体を洗い出した。

 次ページ以降では、ホンダ国内拠点の中でも特に人材流出の多い「リストラ標的20 拠点(部門)」を明らかにすると共に、今回のリストラ策の功罪についても取り上げる。