富士通が舵を切った
ジョブ型雇用と通年採用
ジョブ型雇用や通年採用は近年、多くの企業が導入しつつある。ここではIT大手の富士通のケースを紹介しよう。
同社では、多様な人材が活躍できる人事制度の構築を目的に、2020年4月から幹部社員を対象にジョブ型雇用を導入した。ジョブ型雇用のひとつの施策であるポスティング制度(社内公募)について、CHRO室の猪田昌平マネジャーは次のように語る。
「具体的には年間600ほどの新任管理職ポストを社内公募で決定しています。以前は上司の推薦などで昇進試験を受ける形でしたが、今後、課長職以上になるには自分で手を挙げて勝ち取る必要があり、給与などもポストに連動します。一般社員についてもまったく同じジョブ型雇用の導入は難しいかもしれませんが、現在労働組合と協議中です」
同社では通年採用も19年から導入。人材採用センターの末松佳子シニアマネジャーによると、多様なバックグラウンドを持った人材の確保が狙いだという。
「海外大学の在籍生や留学生、研究が忙しく春に就活できなかった理系学生など初年度は約400名、2年目は1000名を超える応募があり、手ごたえを感じています。枠を設けているわけではなく、選考基準も通常の採用と同じですが、着実に採用数が増えています。今後、新卒採用のルートとして定着することは間違いありません」
同社だけではない。他にも日本を代表する複数の企業トップが終身雇用に否定的な見解を示したり、45歳定年制に言及したりする時代である。企業の変化はそこまで進んでいることを、就活生の親は認識しておくべきだ。