「安心」と「楽」は違う
働き方改革の真の意義

 次に、過労死などの問題をきっかけに本格化した「働き方改革」。時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金など、さまざまな施策が導入されつつあるが、コロナ禍でそれがさらに加速し、テレワークや在宅勤務など「ワークスタイル」そのものも変わりつつある。

 以前から、就活生が企業選びで重視する条件の上位に入るのが「福利厚生」だったが、今後は労働環境や新しいワークスタイルもより注目されるだろう。

 ただ、「安心な仕事環境」と「楽な仕事」は別だ。企業を取り巻く事業環境、競争環境は年々厳しくなっている。大手・有名企業や業績堅調な企業でも、ビジネスモデルの見直しなどで早期退職の募集を当たり前に行う時代である。

「働き方改革」や「新しいワークスタイル」は、働く側に対しても実は厳しい現実を突きつける。

 また今後、IoTやAIなどテクノロジーの進化により、定型的、類型的で思考力がそれほどいらない仕事の多くは不要になるといわれる。そこで、これからのキャリア設計で重要になるのが、「リスキリング」の取り組みだ。

「リスキリング」とは社会人がデジタル分野のスキルを習得する意味で使われることが多いが、必ずしもそれだけにとどまらない。

 一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブの後藤宗明代表理事はこう語る。

「就活生のうちからプログラミングなどの基本的なデジタルスキルを身に付けておくことが重要です。そして実社会に出た後、今度はキャリアを積み重ねていく過程で、自分のキャリアプランに応じて、必要なスキルや知識をレベルアップしていく。リスキリングとは、社会人として常に学び続けるということにほかなりません」

 こうした変化もまた、就活は「ゴール」ではなく「スタート」であるという考え方につながる。