ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

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ポリネシアってどんな地域?

 ポリネシアは、北が北回帰線(北緯23度26分、夏至に太陽が真上にくる)から南は南回帰線を越えて南緯47度付近まで、さらに経度180度の東に位置するツバルから西経100度付近までの、ハワイ諸島、ニュージーランド、イースター島を結ぶ「ポリネシアの三角形」の中にある区域です。

 南北は熱帯から温帯まで、東西では経度だけで計算すればほぼ6時間の時差があります(実際は日付変更線をまたぎ、国によって標準時間の設定は異なるので複雑になります)。

ポリネシアポリネシア

離れた島々に共通する文化や言語

 ポリネシアは、ギリシャ語で「多くの島々」を意味するように、多数の島が存在します。

 ポリネシアの人々の祖先は紀元前から紀元後すぐにかけてアジアからタヒチ周辺のマルケサス諸島に渡り、そこからハワイ、イースター島、ニュージーランドへ渡ったと考えられています。

 ニュージーランドの先住民マオリの祖先は9〜10世紀頃に渡ってきたとされます。

 このマルケサス諸島から各地に人々が渡った範囲がポリネシアであり、身体の特徴、文化や言語のいずれをとってもこの区域の人々の同質性は高いです。

 一方で、アジアからメラネシアやミクロネシアを経由して渡ってきた祖先もいるとされるので、ミクロネシアやメラネシアとの文化の相違を明確に分けることはできません。

 19世紀にポリネシアはフランス、ドイツ、イギリス、アメリカなどの植民地及び保護国となりました。

 現在ではニュージーランド、ツバルなどの独立国もありますが、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、フランスの領土となっている島や諸島が多いです。

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)