GWに読みたい「長編漫画・小説6選」歴史SF、戦争と人の尊厳、家庭の幸せ…写真はイメージです Photo:PIXTA

今年のゴールデンウイークは、長い人では10連休にもなるという。とはいえ、コロナ禍や働き方の変化などで遠出はせず、家や近場で過ごす予定の人もいるはずだ。普段、国内・韓国ドラマや映画などのレビュー記事を書いているライターが、連休におすすめの漫画・小説を紹介する。(フリーライター むらたえりか) 

『何食べ』と『大奥』をコロナ禍に読む良さ
漫画家・よしながふみの幅広さを堪能   

 長期休暇、まずは日頃のせわしなさから離れたいときに読みたいのが、よしながふみの漫画『きのう何食べた?』(講談社)だ。主人公は弁護士で倹約家のシロさんと、おおらかな美容師のケンジ。同棲するカップルの日常や仕事、人生の悩みを軸に進むストーリーがあり、その時々に主にシロさんによって家庭料理が作られる。

  漫画に出てくる料理を食べる登場人物たちの表情を見ていると、仕事や悩みに追われ、食べることをおろそかにしていた自分にも気付かされる。GWには、自分が心からほっとできる料理を作ったり、そう思える相手と食事をしたりして過ごしてみようかと思うかもしれない。

『何食べ』とも略されるが、2019年に西島秀俊、内野聖陽のダブル主演でドラマ化され大ヒット。レシピ本などの関連書籍も発売され、2021年には映画化もされている。作品をきっかけに、別の媒体や趣味、活動へと世界を広げていけるのが、メディアミックスの魅力である。

   また、本作と同じ作者・よしながふみの漫画に『大奥』(白泉社)がある。こちらも2010年に二宮和也、柴咲コウ主演で映画化された。その後、堺雅人、多部未華子主演でのドラマ化、堺雅人、菅野美穂主演での映画化(ともに2012年)が続いており、そのヒットが記憶にある人も多いのではないか。

「男女逆転大奥」と呼ばれるよしながふみの『大奥』は、「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」という流行病のために男子が激減した世界の徳川家と大奥を描くSF作品だ。男子が死んでしまうために女性が将軍を務めざるを得ず、大奥には日本中から若く健康な男性が集められる。政治や歴史の大筋は史実を参照している。しかし、男女を逆転させたことで、国を動かす者の孤独や、「お世継ぎ」のために今でいう「人権」を奪われた将軍や大奥で生きる者たちの無常が一層際立つ作品となっている。 

  また、幕府の政治や恋愛が描かれるのと同時に「赤面疱瘡」の人痘(じんとう)、今でいう予防接種の確立を目指そうとする医師たちの物語も進んでいく。コロナ禍の現在、漫画の中で展開されていく予防接種やワクチンの重要さ、あるいはそれをめぐる人々の考え方の違いについて、実感を持って読むことができる。

『何食べ』と『大奥』。併せて読むと、作者の作品の幅広さに驚くとともに、コロナ禍で読むことでより日常や人権、医療の大切さなどを感じられるのではないか。