ホテル・航空に迫る構造変化、新たな需要をつかみとれるか【コロナ直撃2業種を分析】「二極化」していたホテル業界だが、アフターコロナはさらに異なる需要が生まれそうだ Photo:PIXTA

*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2022」の「親子で学ぶ注目業界天気予報」を転載したものです。

新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が広まり、大きな影響を受けたホテル、航空業界。2023年卒の学生が、就活において心がけるべきことは何か。2業界が直面する現在の状況と今後の展望について分析した。(ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部 副編集長 小尾拓也)

【ホテル】
高級志向と低価格志向に二極化
アフターコロナの「新たな需要」とは

 ホテル業界もコロナ禍による外出自粛で利用客が激減した。東京商工リサーチによれば、2020年1月から21年上半期にかけての宿泊業の倒産は、累計で160件を超えた。

 政府のGoToトラベルキャンペーンは高級ホテルの需要を盛り上げたが、シティホテルやビジネスホテルへの恩恵は小さかった。

 00年以降、ホテルの利用ニーズは、高級志向と低価格志向に二極化してきた。外資系ホテルの進出や国内老舗ホテルのリニューアルが続く一方、外国人観光客やビジネスパーソンの旺盛な需要に支えられ、ビジネスホテルも増加した。

 高級ホテルと低価格ホテルは、それぞれ課題を抱えていた。前者は宿泊、宴会、レストラン需要の3本柱が少子化や法人需要の低下で揺らぎ、後者は市街地に競合が増えて過当競争に陥った。

 突然訪れたコロナ禍は、そんな彼らに一様に「暴風雨」をもたらしたのである。

 現在、ワクチン普及や緊急事態宣言解除により、宿泊需要はリバウンドしつつある。新しいビジネスモデルの模索も始まった。

 たとえば、公共機関を使わず、大都市から近いリゾートに出かけ、高級ホテルに短期間宿泊するという、マイクロツーリズムの提案だ。限られた条件の中で質の高い体験を顧客に提供するコンセプトは、星野リゾートが得意としている。

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