「親中」は無関係!?中国のメガソーラーが日本に上陸する理由

 「電力事業」と聞くと、愛国心あふれる方たちは、「安全保障上重要なインフラ」という認識だろう。しかし、メガソーラー事業というのはちょっと意味合いが違っていて、つくった電気を日本の電力会社に売りつけるという「発電ビジネス」なのだ。当時、日本は欧州の3倍以上の高い金額で電気を買い取ってくれるということで、世界中から続々と外資が上陸して、全国のメガソーラー事業に片っ端から参入をしていたのだ。

 その中でも頭ひとつ飛び抜けていたのが、中国企業だ。例えば、上海電力が参入していたのとほぼ同時期、中国企業「スカイソーラー」は栃木など全国各地でメガソーラーの建設を次々と進めていた。その結果、現在は日本国内で68カ所でメガソーラーが稼働している。(日本法人HP

 なぜこんなに中国企業のメガソーラー事業は、全国各地で引っ張りだこなのか。

 理由はシンプルで「低コスト」だからだ。実は太陽光パネルは中国が今や世界一のシェアを誇り、日本や他の国の発電事業者に比べて圧倒的な「安さ」を実現している。低コストなのでさまざまな自治体からお呼びがかかるし、入札に参加する日本企業から「うちと組みましょう」と声がかかる。

「太陽光パネル 中国勢の波 低価格で圧倒 入札制度が商機 高コスト 影薄い日本勢」(日本経済新聞17年10月29日)という記事の中で、国内のメガソーラー事業者が、中国企業を「途中参加」させてしまう事情がわかる記述がある。

<発電事業者が安い価格を示すには、発電所をつくるコストをより安く抑えざるを得ない。そこに中国企業が入り込む余地が生まれる>

 ここまで言えば、筆者が何を言わんとしたいのかお分かりだろう。咲洲メガソーラー事業は、山口氏の指摘する通り「上海電力ありき」だった可能性が高い。

 しかし、それは橋下氏が「親中」だからとか、上海電力とただならぬ関係だからというよりも、シンプルに上海電力の太陽光発電のコストが「安い」からではないのか。

 実際、当時の日本では全国でそのような「中国企業ありき」のメガソーラー事業の計画が進んでいた。親中企業が多いとかではなく、その座組みの方がもうかるからだ。咲洲の事業を受注した伸和工業にとってもそうだっただけなのではないか。

 そう考えると、なぜ当時、「上海電力の途中参加」に大騒ぎをしなかったのかという謎も解ける。

「安さ」を武器に全国で中国企業のメガソーラー参入が続々と起きていたので、「咲洲で上海電力がメガソーラー事業をやることになりました」という話が聞こえてきても、マスコミは「ああ、大阪でもやるんスね」と軽くスルーしたし、市民も「説明責任を」と叫ばなかったのではないか。