楽天ポイントの「改悪」は
収益の正常化を目指す企業努力

 もう一つ投資家が注目するのが、楽天ポイントの改悪です。昨年、楽天ゴールドカードのポイント還元率が4%から2%に引き下げられたのに始まり、最近、ポイント還元率の引き下げ発表が目立ちます。今年4月からは、ポイントの付与対象が「消費税込みの金額」から「税抜きの金額」に変更されたほか、いくつかのサービスでポイントアッププログラムの比率が下げられる、ないしはプログラムから外れる例が続出しています。

 ユーザーにとっての「改悪」は、企業としてみれば「値上げ」と同義です。しかし、投資家が注目するのは「改悪が成功するかどうか」です。

 実は以前、私は楽天ポイント改悪を擁護する記事を書いたことがあります。楽天グループの最大の強みはポイント経済圏にあります。ことの起こりは、このポイント経済圏を他社が攻撃しようとポイント還元競争を仕掛けたことでした。

 そして、ポイント還元競争を続けてもこれ以上効果が出ないと見た他社が先にポイント還元率を下げ、現在は楽天がこの動きを後追いしている状況です。つまりポイント改悪はユーザーにとっては悪ですが、企業努力としては収益の正常化を目指していることになる。そこで問題になるのは、「ポイント改悪が成功しているかどうか」です。

 その指標となるのは楽天のポイント経済圏が拡大基調にあるかどうかですが、決算発表を見る限りは今のところうまく行っている様子です。日本の月間アクティブユーザー数は3600万超で前年同期比11.2%増加していますし、2サービス以上を利用するユーザー数が74.8%とほぼ4人に3人は楽天グループのサービスに囲い込まれており、かつその数字もずっと右肩上がりで増加しています。

 つまり、楽天は世の中と比較して「うまく値上げに成功している」企業なのです。それにもかかわらず株価がさえない最大の理由は、携帯電話事業の先行きの不安でしょう。