社外取「欺瞞のバブル」9400人の全序列#19Photo:lvcandy/gettyimages

東京証券取引所などが定めた企業統治指針では、社外取締役メンバーの多様性を求めており、女性の起用が広がっている。およそ3週間にわたり公開予定の特集『社外取「欺瞞のバブル」9400人の全序列』の#19では、処遇を比較するために男女別の推計報酬額と兼務社数のランキングを作成した。なんとあのイチロー元選手の親族も上位にランクイン。4000万円超の報酬を稼いだのは男性36人、女性17人だった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

リクルートは取締役会の女性比率を50%に
逆差別も発生?男女別に報酬を検証

 金融庁と東京証券取引所が昨年改訂した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)は、女性役員の積極登用を促している。これに合わせて、女性登用の動きが加速している。リクルートホールディングスが、取締役や上級管理職の女性比率を2031年3月期までに約50%まで引き上げる具体的な数値目標を示したことなどは典型例である。

 男性中心だった取締役会において、女性や外国人を増やして人材多様性(ダイバーシティー)を充実させる。これは欧米を中心とする世界的な潮流であり、取締役会の監督機能を十分に働かせる上でも役に立つと期待される。機関投資家が女性取締役ゼロの投資先企業に対して、男性取締役の選任に反対する動きが活発化しているが、それはこの流れに沿ったものだ。

 ただ、一方で、現実に企業取材をしていると、男性幹部からこんな嘆きを聞くことがある。「女性優遇の逆差別がひどい」(大手金融機関)、「拙速に女性を増やそうとして、ビジネスに関する専門知識が全くない、単なるタレントが社外取締役に選ばれてしまった」(運輸大手)。実際のところ、日本の社外取を巡る状況は、今どうなっているのだろうか。

 本特集では日本の社外取「全9400人」を徹底評価する複数の独自ランキングを作成してきた。今回は処遇を中心に男女比較をしてみたい。そのために、男女別の推計報酬額のランキングを作成した。兼務社数も一緒に掲載している。ちなみに4000万円超の報酬を稼いだのは男性36人、女性17人だった。

 それではランキング2本を見ていこう。次ページでは、男女それぞれトップ50人の、平均報酬額と平均兼務社数も示している。女性社外取のトップは6000万円を超えたが、男性のトップは幾らで差はどれくらい? 実は、ほとんどの指標で男性が上回ると思いきや、ある点では女性に軍配が上がるという意外な結果に。