上場企業3700社の社外取締役「9400人」の総報酬額を実名ランキングで完全公開する。およそ3週間にわたり公開予定の特集『社外取「欺瞞のバブル」9400人の全序列』の#16では、後編として下位5400人の実名と兼務社数、推計報酬額の合計を網羅した序列完全版をお届けする。今回は、最高幹部が不可解な辞任をしたアイ・アールジャパンホールディングスのほか、RIZAPグループやキーエンスが登場。社外取に「天下り」を受け入れる地銀もあった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
社外取「下位5400人」の報酬額を完全公開
実名、社名で検索も可能
経営トップの陰に隠れ、スポットライトを浴びる機会が少なかった社外取締役だが、今や上場企業のトップ人事をも左右する存在となった。国や産業界が進めるガバナンス改革の主役に据えられたことから、上場企業は社外取の増員を迫られて人員確保にひた走っている。
普段はベールに包まれている社外取たち。だが、求人バブルといえる今こそ、彼らが本当に高額報酬に見合う働きをしているかどうか、取材やデータに基づく検証が必要ではないか――。
本特集では日本の社外取「全9400人」を徹底評価する複数の独自ランキングを作成してきた。#13『社外取締役・報酬ランキング【上位4000人】、上場企業「全9400人」の完全序列、トップは9000万円!』と今回は、有価証券報告書のデータを基に、社外取の報酬額を独自に試算。複数社兼務の場合は、全社の金額を合算して実際に受け取っている報酬額に近づけた。こうして上場企業3700社、社外取9434人を「報酬」だけで完全序列化した、実名ランキングが出来上がった。
今回は、#13に引き続き、後編として残りの社外取5400人の推計報酬額を公開する。
社外取5400人の顔触れを眺めると、6月6日に最高幹部のインサイダー取引疑惑が明るみに出たアイ・アールジャパンホールディングス(HD)の、社外取2人が出てきた(詳細は『【スクープ】株主総会の“参謀役”アイ・アールジャパンに強制調査!「上場規程に抵触」の衝撃証拠を入手』参照)。彼らは一体どんなキャリアの持ち主で、監督責任をきちんと果たしていたかが気になるところである。
このほか、地方銀行としては8年ぶりの公的資金注入となる、きらやか銀行(山形市)の持ち株会社、じもとホールディングス(HD)の姿も。山形、宮城両県庁のそれぞれの元幹部が、天下りのような格好で社外取になっていた。本特集#10『山口FG異例のトップ解任劇の引き金、前会長vs大物社外取締役「5時間大激論」の一部始終』で取り上げた、山口フィナンシャルグループ(FG)も名を連ねている。
また、昨年4月に東芝の社長職を突如投げ出した、いわく付きの車谷暢昭氏をわざわざ社外取として今年6月に迎えるRIZAPグループも、今回ランキングに登場する。社員の高年収で有名なキーエンス(平均年収1752万円)は、社外取の報酬額が意外と低く4000位以下だったことも目を引いた。
それではランキングを見ていこう。次ページでは、調べたい社名や氏名のほかに、「銀行」のようなキーワードを入力することでも検索できる。順位や兼務社数、推計報酬額を見ながら、ぜひ社外取の働きぶりについて検証してみてほしい。