公取委が「物流の闇」にメス、荷主641社を調査した「問題取引」とは?Photo:PIXTA
*本記事はカーゴニュースからの転載です。

労務・原材料・燃料費の転嫁拒否が疑われる
荷主19名に対して立入調査

 公正取引委員会は5月25日、2021年10月に開始した荷主と物流事業者との取引に関する調査の結果を公表した。問題につながるおそれのある事例としては、10時間超に及ぶトラックの長時間待機や、値上げを申し出た際に、取引先の変更をちらつかせる行為、通関手続きの際に関税・消費税を荷主が通関業者に立替払いさせることも挙げられた。

 公取委では、荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から、独占禁止法に基づき「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」を指定し、その遵守状況や荷主と物流事業者との取引状況を把握するため、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を継続的に行っている。

 具体的には、荷主と物流事業者との間の物品の運送または保管に係る継続的な取引を対象に、荷主および物流事業者向けに書面調査を実施。書面調査の結果を踏まえ、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案について、荷主19名に対する立入調査を行った。