トラックトラックのカーボンニュートラルの方向性は…?(写真提供:カーゴニュース)

新春にあたり、急激な変化の中にある物流業界の今後について、カーゴニュースの5人の記者が語り合った。超ロングで熱気あふれる議論の中から、ダイヤモンド編集部が厳選して抜粋し、4回にわたって連載する。最終回は「トラックの脱炭素シフト」からスタート。そして物流業界で2022年、M&Aがどこまで進むのかについて意見を交わす。中小規模の売買のほか、日本通運の海外M&Aを含む大型案件にも要注目だという。最後は、荷主が頭を悩ませる物流コストインフレについて提言する。(カーゴニュース)

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トラックはEVやFCVに移行するのか
15年後も使うためには、まもなく経営判断を

C トラック事業者のカーボンニュートラルを注視している。グリーンなトラックの「格付け」がどうなるかだ。カーボンニュートラル対応として、現在、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)、それからエンジン車をベースとしたバイオ燃料や合成燃料、再生燃料の活用が候補として挙がっている。

 しかし、日本の「電気」や「水素」はグリーンなのか。日本は30年度においても発電の2割を石炭火力で賄うとしている。そうなると、石炭火力で発電した電力をEVに使うことが考えられる。COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)でも「石炭火力発電廃止」の合同声明に日本は参加しなかった。また、水素にも製造工程でCO2を排出する「グレー水素」、再生エネルギーでつくる「グリーン水素」、製造工程で出たCO2を回収、地中貯留する「「ブルー水素」がある。

 トラックは15年ほど使用するため、30年とか50年といった国の排出削減目標に対応するには、まもなく経営判断をしなければならない。現段階では「カーボンゼロトラック」に関する技術の評価や見極めも難しい。政府としてトラックの脱炭素への移行の道筋を早く示すべきだ。

A 技術開発が日々進んでいることもあり、この先10年、20年単位で見ると、どの車種が残るのか分からない。そうなると、物流事業者側も車を購入せずにサブスクリプション的に使うなど、車両の保有を巡る概念が大きく変わっていく可能性もある。例えば、EVを使用していたけれど、途中からFCVに乗り換えるといったようにね。自動車メーカーもそのあたりを強く意識していると思う。