パリ協定とウクライナ危機を経て、二酸化炭素を排出しない太陽光や風力といったグリーンエネルギーは、いよいよ電力ビジネスの主役へ躍り出た。その主導権は、東京電力ホールディングスをはじめとする大手電力会社から、三菱商事やNTT、アマゾンら新勢力に移りつつある。特集『熾烈なるエネルギー大戦』(全7回)の#6では、電力ビジネスのヒエラルキー変遷の裏側をお届けする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
電力ビジネスの頂点にいた東京電力
札束で政治家からメーカーを従わせた
「やっぱり金は力。札束で頬をひっぱたいて政治家からメーカーからなんでも従わせたんだから」。東京電力(現東京電力ホールディングス)OBは、かつての古き良き時代をしみじみ振り返る。1990年代に総務畑の第一線で活躍し、その後引退したOBの感慨である。
73年のオイルショックを経験し、日本はエネルギー自給率の向上のため原子力発電の本格導入へかじを切った。このとき、電力ビジネスの頂点にいたのは、東京電力をはじめとする大手電力会社だった。
だが半世紀がたった今、電力ビジネスのピラミッドの序列は激変した。頂点に君臨するのは、もはや東京電力を含む大手電力ではない。三菱商事、NTT……新興勢力の面々が電力ビジネスの主役に躍り出ているのだ。
次ページでは、なぜ電力ビジネスの主役が、東京電力をはじめとする大手電力から三菱商事やNTTら新勢力へ移ろうとしているのか、その理由を解き明かしていく。