中国共産党大会の日程は
権力闘争の行方次第

 中国では、今年秋以降、習近平総書記の3選がかかる中国共産党大会が開催される。ただ、肝心の日程について、中国国営メディアは現時点でも「今年後半に開く」としか伝えていない。

 5年に1度の大会は、中国共産党幹部の人事を決め、指導部の体制を固める重要な場である。当然、権力闘争は付き物だ。

 習近平総書記の3選がほぼ確実で、人事も順調に固まるようであれば9月から10月、権力闘争が続いているなら11月になる可能性が高い。

 ちなみに、前回(2017年)の大会は10月に開催されている。香港紙の明報は、4月11日付の紙面で「11月開催の見通し」と報じているが、仮にこれが事実であれば、これまで確実視されてきた習近平総書記の3選は100%とは言い切れなくなる。

 今年は、11月15日から16日まで、インドネシアのバリ島で、中国も参加するG20首脳会議が予定されている。政治日程は窮屈だ。それにもかかわらず11月開催となれば、権力闘争が長引き、人事が決まらないため、とみることもできる。

習近平の総書記3選が
危ぶまれる2つの理由

 習近平総書記の3選に黄色の信号がともる背景はいくつかある。

 一つは、習近平総書記の3選に、かつて共産党の重鎮だった朱鎔基元首相らから異論が出ている点だ。不動産大手、IT企業などへの締め付けが主な理由で、習近平総書記の政策が中国経済の減速を招いているとの声は根強い。

 4月27日付の英国紙、フィナンシャル・タイムズは、中国共産党幹部の間で不動産企業への締め付けを継続するかどうかで意見が対立している、と報じている。

 政治局常務委員の韓正(江沢民派)、政治局委員の胡春華(李克強派)と、政治局委員の劉鶴(習近平の側近)との間で対立があるというのである。

 5月14日には、北京の清華大学で、「第3回清華五道口首席経済学者フォーラム」が開かれたが、ここでは、李克強派といわれる経済学者たちが一斉に習近平指導部による経済政策に注文を付けている。

 もう一つは習近平指導部による「ゼロコロナ政策」の余波だ。

 中国最大の経済都市、上海では、6月1日、およそ2カ月ぶりに、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として導入された都市封鎖(ロックダウン)が解除され、市民の9割に当たる2250万人が自由に外出できるようになった。

 とはいえ、上海をはじめ北京でも行われた「ゼロコロナ政策」で、個人消費などの経済活動は大きな打撃を受けた。何より度が過ぎた政策に対する市民の不満は、日本で報道されている以上に大きい。