優れたリーダーはどのように考え、行動しているのか?
リーダーにとって必要な資質や能力を高める、100の習慣を大公開!
本連載の著者はこれまでに国連や世界銀行グループ、政府、学校など様々な組織のリーダーへ、コーチングをおこなってきた、英国の超一流コーチ、ナイジェル・カンバーランド氏。
その経験から導き出した、リーダーとしての成功に近づくために欠かせない考え方や習慣、スキル、人間関係、行動をまとめたのが『ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣』です。本書の刊行を記念し、その内容の一部を特別公開します。
では、さっそく、よりよいリーダーになるための一歩を踏み出しましょう。

ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣Photo: Adobe Stock

成功するリーダーは部下の長所を伸ばし、
成功しないリーダーは悪いところばかりを指摘する

 人は、物事のポジティブな側面よりもネガティブな側面に注目してしまいがちです。人間関係でも、相手の長所より、短所にばかり目についてしまうものです。自分自身に対しても同じです。欠点をやたらと気にして、長所を認めたり、そのことに自信を持ったりしようとしないのです。

 リーダーシップの世界でも、欠点や弱点の改善が重視される傾向があります。その狙いは「欠点の少ない万能型のリーダーを育てること」ですが、その考えは間違っています。

 スポーツの世界に目を向けてみましょう。デビッド・ベッカムはサッカーボールを自在に操り、セリーナ・ウィリアムズはテニスコートで相手を圧倒し、タイガー・ウッズはゴルフボールを正確に打つ能力に長けています。

 しかし、もし彼らが若い頃、複数の競技でトップアスリートになるための訓練を受けていたとしたらどうでしょう。それは膨大な時間と労力の無駄になったはずですし、どれか一つの競技で抜きんでた能力を身につけられなかったかもしれません。

 同じことが、リーダーシップにも当てはまります。自分の強みを知り、それを伸ばすことに注力すれば、成功し、卓越した存在に近づけるのです。次のことを重視して、リーダーシップの力を伸ばしていきましょう。

・リーダーには、生まれつきの長所や、長い年月をかけて培ってきた強みがある。長所や強みを伸ばすのに必要な労力は、短所や欠点を改善する場合よりも少なくて済む
・得意なことは伸ばしやすいし、楽しい。苦手なことを無理に克服したり、畑違いの新しいスキルを身につけたりするより、前向きに取り組める
・苦手なことを評価対象にされるのは、リーダーのやる気を失わせ、ストレスになる
・組織が強みを伸ばし、活用することを重視していると、リーダーは能力を発揮しやすい

強みを活かして仕事をする

 自分の得意分野や長所を把握している人は多いはずです。もし確信が持てなければ、自分の長所を知るためのオンラインテストや性格診断(「ストレングスファインダー」など)を受けてみるのもいいでしょう。

 それができたら、次のような方法で自分の強みを徹底的に活かす術を探りましょう。

・自分の強みを伸ばすための時間を定期的に設ける。最新のスキルを学ぶ
・リーダーとして自分の長所を最大限に活かす、明確な目的を持ったキャリアプランを立てる
・自分の強みを存分に発揮できる仕事のやり方やポジションを探す。苦手な仕事や、才能や興味のない分野のポジションには就かないように気をつける

自分の弱点を認識し、改善する3つの視点

 とはいえ、弱みを知っておくことも重要です。次の点について考えてみましょう。

・リーダーとしてのパフォーマンスに、重大な悪影響を与えている点を考える
・改善策を施す(例:その弱点の改善に取り組む、苦手な仕事は他人に任せる)
・自分の強みを活かせる仕事に就くため、職業や業界を変えることも検討する

同じ考え方をチームにも当てはめる

 チームを率いるときも、「強みを活かす」という視点を大切にしましょう。

・全員が自分の強みを伸ばせる環境をつくる。それによって、チーム全体の成長を促す
・メンバーに嫌な思いをさせないように心がける。適材適所で仕事を割り当てる
・メンバーの仕事と将来の成長のために弱点の克服が必要な場合は、改善を目指す

(本稿は、ナイジェル・カンバーランド著、児島修訳『ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣』を抜粋、再構成したものです)

ナイジェル・カンバーランド(Nigel Cumberland)
作家、リーダーシップ・コーチ
1967年、イギリスのヨーク生まれ。ケンブリッジ大学卒業。世界最大級の人材サービス会社Adeccoや世界3大ミシン糸メーカーCoats plcで財務部長を務めた。シルクロード・パートナーシップの共同創立者。ロンドンとドバイを拠点に、同社を通じて企業幹部を対象にリーダーシップ・コーチングやメンターリングをおこなう。ハーバード大学メディカル・スクール付属コーチング養成機関の創立研究員でもある。これまで香港・ドバイ・ブダペスト・サンチアゴ・上海・ドバイで暮らし働いた経験から人生で成功するヒントを得た。これまでに出版した8冊の著書は、ドイツ・中国・ポルトガル・スペイン・ロシア・チェコ・スロバキア・ルーマニア・ドバイをはじめとする中東諸国・ブラジルなどの各国で翻訳されている。著書に、シリーズ10万部突破の『成功者がしている100の習慣』『お金持ちがしている100の習慣』(ともに児島修訳、ダイヤモンド社)などがある。
児島 修(こじま・おさむ)
英日翻訳者。
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。訳書に『成功者がしている100の習慣』『お金持ちがしている100の習慣』(ともにナイジェル・カンバーランド著)、『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』(モーガン・ハウセル著)、『DIEWITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著)(いずれもダイヤモンド社)など。