「非日常性」も、お客さまに「買いたい」と思わせる重要なキーワードです。日常から離れた場面を演出することで、今までにない感動を体験してもらう。その感動を味わいたいと思ったとき、人は「お金を出そう」という気になるのです。
食べ放題の店を考えてみればわかりやすいでしょう。料理というのは、ふつう食べ放題ではありません。それを「食べ放題」と言われるから、欲や好奇心が湧き、「食べてみようかな」「行ってみようかな」と思うのです。
これが「毎日食べ放題」という人なら、食べ放題の店に何の魅力も感じません。
いつもと違うからこそ「ぜひやりたい」「ぜひ行ってみたい」「ぜひ買いたい」となるわけです。どんな商品であれ、そういう状況をつくり出せばいいのです。
新品の大衆車よりも
中古の高級車を買わせるトーク
クルマのセールスにしても、それが通勤用に使いたいというサラリーマンなら、「せめてクルマに乗るときだけでも、経営者の雰囲気で通勤してはどうでしょう」と高級車を勧めるという手があります。
「会社に行く」ということだけ考えるなら、どのクルマでも同じです。100万円のクルマに乗ろうと、500万円のクルマに乗ろうと、ちゃんと目的は果たせます。
しかし100万円のクルマと500万円のクルマとでは、乗り心地がはるかに違います。内装も違うし、操作性や安定性も違う。人はグレードの高いクルマに乗れば、自分のグレードまで上がった気になるものです。
「グレードの高いクルマで通勤すれば、自分のグレードも上がり、よりグレードの高い仕事ができるようになります」というのが、私のよく使う言葉です。
予算が足りないときは、中古車を勧めればいいのです。中古の高級車なら、大衆車の新車と値段は変わりません。