国内王者の武田薬品工業は、遂に売上高で世界トップ10から陥落した。いわゆる“コロナバブル組”のメガファーマ(巨大製薬会社)がいる一方、波に乗れぬ武田薬品の見通しは厳しい。特集『決算書100本ノック! 2022夏』(全21回)の#04では、財務分析と独自試算の「創薬投資力」から武田薬品の真の実力に迫る。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
英アストラゼネカに抜かれて
武田薬品「世界10位→11位」に後退
新型コロナウイルス感染症関連製品の本格登場後、初の通期決算が世界の製薬業界で出そろった。
コロナワクチンを約4兆円売り上げた米ファイザーが売上高で世界王者に返り咲き。同じくワクチン効果で、バイオベンチャーの独ビオンテックが16位、米モデルナが19位に食い込んだ。
日本勢で唯一ベスト10入りしていた武田薬品工業は、コロナバブルに乗れず遂に11位へ後退。売上高こそ上位陣と拮抗するが、研究開発費に稼ぐ力であるEBITDA(利払い、税引き、償却前損益)を加えた「創薬投資力」では、実力差はかなり開いている。
ダイヤモンド編集部は世界の製薬会社の創薬投資力を独自に試算し、ランキングにまとめた。次ページでは、創薬投資ランキングの陣容を明らかにすると共に、武田薬品がトップ10から陥落した「真因」に迫る。