三菱UFJフィナンシャル・グループが7期ぶりに連結純利益1兆円超えを達成した。しかし銀行単体に目を向けると、“本業”の利益は3メガバンク最下位と、試練が浮き彫りになる。特集『決算書100本ノック!2022夏』(全21回)の#10では、三菱UFJ銀行の単体業績が低迷する三つの要因を明かす。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
連結経営は抜かりないが
銀行単体“本業”の利益は3メガで最下位
「トータルで考えれば、まずまずの決算だった」。2022年3月期に、連結純利益で7期ぶりに1兆円超えを達成した三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)。5月16日、決算会見の場でそう語った亀澤宏規社長の顔には、好決算に対する自信の色が浮かんだ。
実は22年3月期は、7期前の15年3月期と比べるとマイナス要因も少なくなかった。例えば米国の金利上昇により、国債等債券関係損益は1404億円の損失に転落。ウクライナへの軍事侵攻で経済制裁を受けるロシア向けの融資などに関する貸倒引当金(焦げ付きに備えた引当金)も、1400億円計上した。
にもかかわらず三菱UFJFGが連結純利益で1兆円超えを達成できたのは、「連結経営の抜かりなさ」(他メガバンク幹部)による。
ただし、だ。ピカピカの連結業績とは裏腹に、「グループの中核である三菱UFJ銀の単体業績は、思った以上にボロボロだ」(銀行業界関係者)。
三菱UFJ銀の単体業績は、具体的にどの部分で不調に陥っているのか。次ページでは、三菱UFJ銀が「3メガバンクで最下位」に沈んでいる決算指標と、その三つの要因について明かす。