ノーベル経済学賞の受賞者で2006年に死去したミルトン・フリードマンは、「インフレはいついかなる場合も貨幣的な現象だ」という有名な言葉を残した。過去1年にマネーサプライ(通貨供給量)とインフレ率が急激に伸びたことで、フリードマンの信奉者たちから「それ見たことか」との声が聞かれる。だからといって、インフレとマネーサプライを結び付けていることで知られるマネタリズム(貨幣主義)を中央銀行や経済実務家が再び受け入れると思ってはならない。マネーサプライは2021年になるまで米国のインフレ率を予測する精度が高くなかった。概念上・定義上の問題が解決されていないことが、その原因だ。一方、高失業率といった経済のスラック(余剰資源)に基づいてインフレ率を予測する現代のモデルはこの1年、インフレ予測でそれほど好成績を収められなかった。インフレをよりよく理解するには、両方のアプローチの力を借りる必要がありそうだ。
インフレ高進で「マネタリズム再評価」の機運
有料会員限定
あなたにおすすめ