コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は関西電力、東京ガスなどの「電力/ガス」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
通期決算では明暗鮮明
電力2社は減収、ガス2社は2ケタ増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の電力/ガス業界4社。対象期間は2022年1~3月期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・関西電力
増収率:マイナス0.7%(四半期の売上高9021億円)
・中部電力
増収率:6.7%(四半期の売上高8783億円)
・東京ガス
増収率:42.7%(四半期の売上高7577億円)
・大阪ガス
増収率:35.4%(四半期の売上高5431億円)
※4社とも収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。なお、東京電力ホールディングスは会計方針の変更に伴い、前年同期比増減率が非開示のため、掲載を見送った。
電力/ガス業界の4社では、関西電力のみが前年同期比で減収、他3社が増収だった。中でも、東京ガス・大阪ガスの四半期増収率は圧倒的で、中部電力の追随を許さなかった。
通期決算でも明暗は鮮明で、関西電力・中部電力が減収を強いられた一方、東京ガス・大阪ガスはそろって2ケタ増収を成し遂げた。その背景には、16年の電力小売り全面自由化がもたらした“皮肉な現実”があった。
その実態を次ページで詳しく解説するとともに、各社の増収率の推移も併せて紹介する。