トスカニーニやフルトヴェングラー、カラヤン、バーンスタインといった著名な指揮者を取り上げるのではなく、「知る人ぞ知る」名指揮者とその音盤を紹介していくシリーズ。2回目は、マニュエル・ロザンタール(1904~2003)の「エリック・サティ管弦楽曲集」だ。ロザンタールはフランスやアメリカで活躍し、作曲家としても名を残している。サティのピアノ曲は1980年代に環境音楽の先駆としてブームとなった。管弦楽はどうだろうとロザンタール盤に針を落とすと、聴いてびっくり。鮮やかな音でメリハリがきいている。(コラムニスト 坪井賢一)
ステレオ録音初期(1950年代後半)の
レコードも数点残す指揮者・ロザンタール
ロザンタールは第2次大戦前から活動していた指揮者で、ステレオ録音初期(1950年代後半)のレコードも数点残している。筆者が初めて聴いて驚いたのが、1959年に録音された「エリック・サティ管弦楽曲集」だ。収録された曲は以下の通り。
マニュエル・ロザンタール指揮フランス国立放送管弦楽団
「エリック・サティ管弦楽曲集」(1959年録音、米エベレスト原盤)
1. バレエ音楽「パラード」
(1)コラール~赤い幕の前奏曲~中国の奇術師
(2)アメリカの少女
(3)アクロバット(軽業師)~終幕~赤い幕の前奏曲
2. 三つの組立てられた小品
(1) パンタグリュエルの幼年期から(夢想)
(2) 楽園への行進(足取り)
(3)ガルガンチュワの遊び(ポルカのコーナー〈角〉)
3. 交響劇「ソクラテス」第3部「ソクラテスの死」
ソプラノ独唱~ドゥニーズ・モンタイユ
4. 馬の装具で
(1)コラール
(2)連祷風フーガ
(3)ほかのコラール
(4)紙のフーガ
1959年の録音ということは、開発されたばかりの2チャンネル・ステレオで、片面25分、両面で50分入るLPレコードがようやく市場に出始めたころだ。世の中の大半のレコードはモノラルの時代である。このロザンタール盤の日本初出がいつかは不明だが、筆者が初めて聴いたのは、日本コロムビアが「ヒストリカル・レコーディング1000シリーズ」の一つとして発売したものだ。