あるクラスで行われた「あだ名アンケート」
あだ名について考える機会

 人から聞いた話だが、ある小学校のクラスで「あだ名アンケート」というものが実施されたらしい。

「自分に付けられたあだ名をどう感じているか」「クラスメートに付けられたあだ名の中に違和感を覚えるものはないか」などの質問を紙に書いて提出し、担任の先生だけがそれに目を通す。そこで本人から「嫌だ」と自己申告があったあだ名や、多くのクラスメートが問題視するあだ名を精査する狙いがあったようだ。
 
 これは一歩進んだ試みだろう。アンケートひとつで児童の本音や実情がつまびらかにされるわけではないだろうから、あだ名へのアプローチとして完全なものとはいえないであろう。だが、あだ名について何かしらの積極的なアプローチをしようとしている点は評価すべきである。

 一般の人が“あだ名禁止”や“さん付け校則”と聞いてギョッとし、またマスコミがそれをあおるものだから(その意味において本記事も邪悪である)、危機感から教育現場への監視の目を厳しくしたくなる気持ちもわかる。筆者もそうだから大いに共感できるのだが、これはおそらく己の中で少し鎮めるのが得策ではないか。なぜかというと、“教育の現場”にばかり目を向けることで、自分の手元がおろそかになるおそれがあるからである。これは、主に保護者に言えることだ。
 
 自分の子どもやその友達のあだ名はどうか。一抹の違和感を見逃さずに捉えるチャンスは、学校の先生同様、保護者にもあるはずである。なので保護者は、“教育の現場”ばかりを監視するのでなく(意見があればもちろん発信すべきである)、あくまでバランスよく視野を保つことが大事だろう。