米国の医療現場では、コロナ患者の治療で「呼吸療法士」が大活躍している。日本では同じような権限を持つ医療職が存在しない。「呼吸療法認定士」という認定資格はあるが、まるで別物。やれることが全く異なる。(国際医療経済学者・グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン〈GHC〉会長 アキよしかわ、GHC代表取締役社長 渡辺さち子)
米国のコロナ治療で大活躍する
「呼吸療法士」が日本にいない
新型コロナウイルスの感染が「第7波」に入って急拡大し、全国のコロナ感染者数は7月16日に11万人の過去最多を更新。早くも同23日にはその2倍に迫る20万人を突破した。
医療現場では、記録的な猛暑による熱中症の緊急搬送など通常診療にも対応しつつ、コロナ患者の治療にあたっている。そんな国内の医療現場において、コロナ患者の治療に、米国に存在する“ある医療職”が存在していない。
米国においてコロナ患者の治療で大活躍する「呼吸療法士」が、日本にいないのである。
呼吸療法士は、呼吸器に関する重症患者を手術室や集中治療室(ICU)で管理する医療専門職。米国では中等症以上のコロナ患者などの呼吸器管理を行い、コロナ禍において医師や看護師に次ぐ存在感をみせた。さらに一部の呼吸療法士は、重症患者の治療に用いられる「体外式膜型人工肺(ECMO)」の操作も担った。
日本にも「呼吸療法認定士」という似た名称の資格がある。しかし、米国の呼吸療法士とは役割が異なる。資格保有者がやれることは非常に限られるのだ。