「ゴリゴリの肩」「バキバキの背中」「ガチガチの股関節」「ジンジン痛む腰」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、悩まされるようになった体の不調。「腰に違和感がある」というレベルではなく、痛みが酷くて日常生活に支障が生じることだってある。それもこれも「年をとったせいだ」と思いがちだけど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いなのです。
そこで参考にしたいのが、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)、『金スマ』(TBS系)、『体が硬い人のための柔軟講座』(NHK)などで話題のフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏の著書『10年後、後悔しない体のつくり方』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、中高年はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも体が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、慢性的な腰痛持ちの人が陥りがちな勘違いと腰痛を予防・解消する方法を解き明かす!

(監修:田畑クリニック院長 田畑尚吾 医師)

【『世界一受けたい授業』で話題】<br />つらい腰痛持ちの人は絶対やってみて!<br />フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一が教える<br />慢性的な腰痛を予防・解消する方法Photo: Adobe Stock

腰痛の85%は原因不明

【『世界一受けたい授業』で話題】<br />つらい腰痛持ちの人は絶対やってみて!<br />フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一が教える<br />慢性的な腰痛を予防・解消する方法中野ジェームズ修一
「理論的かつ結果を出すトレーナー」として数多くのトップアスリートやチームのトレーナーを歴任。卓球の福原愛選手やバドミントンのフジカキペア(藤井瑞希選手・垣岩令佳選手)、マラソンの神野大地選手の個人トレーナーほか、数々のオリンピック出場者を指導する。2014年からは青山学院大学駅伝
チームのフィジカル強化も担当。自身が技術責任者を務める東京都・神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」は、無理なく楽しく運動を続けられる施設として、幅広い層から支持を集め活況を呈している。著書は『10年後、後悔しない体のつくり方』『いつでも、どこでも、1回20秒で硬い体が超ラクになる! スキマ★ストレッチ』(ともにダイヤモンド社)など多数。

肩こりと並んで、悩んでいる人が多いのが「腰痛」です。実は、腰痛の85%は原因がはっきりわからない「非特異的腰痛」と呼ばれるものです。原因が特定できる「特異的腰痛」は15%にとどまります。

原因が特定できる腰痛を起こすのは、「椎間板ヘルニア」「腰部脊柱管狭窄症」、重篤な「脊椎病変」、内臓の病気などがあります。これらは病院での画像診断や精密検査で診断されます。

病院での画像診断や精密検査でも原因がわからない腰痛は、筋肉の硬さや弱さに起因するものが多いです。そうした腰痛には、ストレッチと筋トレが効くことがあります。

体を動かさないと腰痛になりやすい

筋肉に原因がある腰痛の多くは、「骨盤」や「背骨」を動かさない生活から生じます。じっと座っている時間が長く、運動不足で体を動かさないと、骨盤や背骨を大きく動かす機会が減ります。それが腰まわりの筋肉の衰えと硬さを招いて、腰痛につながりやすいのです。

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背骨(椎体)の間には「椎間板」が挟まっており、歩いたり走ったりするときに、背骨に加わる衝撃をやわらげるクッション材の役割を果たしています。この椎間板は軟骨の一種で、前述のように動かすたびに圧力の変化によって、初めて血流がうながされて新陳代謝をします。

つまり、骨盤や背骨を動かすことが少ないと、椎間板の新陳代謝が悪くなるということです。すると、背骨の周辺にダメージが加わりやすくなり、腰痛の一因となるのです。

運動不足で筋肉が硬くなり腰痛の一因に

「股関節の硬さ」も腰痛の引き金になります。股関節は、骨盤の両サイドにある凹みに、太ももの骨である「大腿骨」の丸みを帯びた先端がハマり込んだもので、基本的なつくりは肩関節と似ています。

肩関節と肩甲骨の関係と同じく、骨盤と股関節も連携して動いています。股関節を動かしているのは「腸腰筋」、太もも前側の大腿四頭筋のうち「大腿直筋」、太もも後ろ側の「ハムストリングス」といった筋肉です。

これらの筋肉は姿勢にかかわり、いずれも運動不足だと硬くなりやすい筋肉です。股関節が硬くなると、それをカバーするために、連携している背骨が前屈するときなどに、余分に屈曲する必要に迫られます。それが腰痛の一因になるのです。

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お腹のインナーマッスルを鍛えて腰痛を予防・解消!

筋トレも、原因がはっきりしない腰痛の予防・解消につながることがあります。鍛えるべきはお腹の深層にある「インナーマッスル」(深層筋)です。肋骨などからなる胸郭と骨盤の間にある腹部は、背骨(腰椎)以外に骨格がありません。この“骨格空白地帯”を支えているのが、お腹のインナーマッスルである「腹横筋」です。

お腹にある腹筋群のなかで腹横筋はもっとも深いところを走り、腹巻きのようにお腹をぐるりと1周しています。腹筋群でお腹を1周している筋肉は腹横筋だけです。この腹横筋を鍛えると、コルセットを締めたように「腹圧」が高まり、腰椎と骨盤に加わる負担が減ります。

深呼吸で働く「横隔膜」、背骨同士をつなげる「多裂筋」、尿もれや便もれを防ぐ前述の「骨盤底筋群」も、腹横筋と一緒に働いて腹圧を高めてくれますから、腹横筋と同時に鍛えておくとより効果的です。この4つの深層筋を「インナーユニット」とも呼びます。【次回】は具体的に腰痛を軽くするストレッチ&筋トレを紹介しましょう!

※本稿は、『10年後、後悔しない体のつくり方』より一部を抜粋・編集したものです。本書には、体が若返るメソッドがたくさん掲載されています。ぜひチェックしてみてください!