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アップルがわが国でのiPhoneなどの値上げに踏み切ったのは、ドル高の影響で計画していた収益を確保することが難しくなったからだ。ざっくり計算するだけでも、ドル高がアップルに与える負のインパクトがよく分かる。米国の金融政策とアップルの経営の行方、iPhoneの追加値上げとApple Musicなどのサブスク利用料金の引き上げの可能性を徹底解説する。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

ドル高でアップルの連結ベース収益の
目減りが顕著になっている

 7月1日、米アップルはわが国で販売するiPhoneなどの主要製品を一斉に値上げした。値上げの理由はドル高・円安の進行だ。2022年年初から7月末まで、円はドルに対して約15.8%下落した。主要先進国通貨の中でもドルに対する円の減価率は高い。同じ期間、主要な通貨に対するドルの変化率を示すドルインデックスは約10.4%上昇した。

 ドル高によってアップルの連結ベース(ドルベース)の収益の目減りが顕著になっている。そうした収益の減少を食い止めるために、アップルはわが国でiPhoneなどの値上げを余儀なくされた。

 今後もアップルがわが国などで値上げを続ける可能性は否定できない。米連邦準備制度理事会(FRB)は、これからも「インフレ退治」を目的に追加利上げを続ける可能性が高い。米国の金融政策の引き締めペースは、主要先進国の中でも速い。それがドルの先高感を支えるだろう。

 その結果、アップルのドルベースの収益は、これまで以上に下押しされる恐れがある。今後、アップルが高収益を維持するためには、付加価値の高い新しいヒット商品を生み出すことが求められる。