長引くコロナ禍で、体を動かす機会がメッキリ減ってしまった人は多いはず。気がつけば、肩はゴリゴリ、背中はバキバキ、股関節はコチコチに……。
そこで参考にしたいのが、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)、『金スマ』(TBS系)、『体が硬い人のための柔軟講座』(NHK)などで話題のフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏の著書『いつでも、どこでも、1回20秒で硬い体が超ラクになる! スキマ★ストレッチ』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、ちょっとした「スキマ時間」で、いつでも、どこでもできる“気持ちい~いストレッチ法”を、マンガでわかりやすく指南。「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも体がやわらかくなる秘訣を明かした1冊だ。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、運動指導のトッププロが教える医学的にも正しいストレッチで、「体が硬い」を解消して、柔軟性をとり戻す方法を紹介する。
監修:田畑クリニック院長 田畑尚吾 医師 イラスト:百田ちな子
「体の柔軟性が高まる」ってどういうこと?
「ストレッチをして体を伸ばす」というと、多くの人は“筋肉がゴムのように伸びる”というイメージを思い浮かべがちです。けれど、多少伸縮の幅はあるものの、筋肉がゴムのようにビヨーンと伸びることはありません。
私自身、ストレッチを指導するとき、ほかに適当な表現がないので「筋肉を伸ばしましょう」といったりしますが、心の中では(筋肉は伸びないんだけどな…)と思っています。では、ストレッチをして柔軟性が上がると、体はどうなるのでしょうか?
正解は「筋肉が追加されて長くなる」です。“柔軟性がある・ない”の違いは、筋肉そのものが長いか短いかの違いということです。
結局、どうすれば体が柔らかくなる?
そこで、筋肉がどうやって長くなるのかについて解説しましょう。筋肉は「筋線維」という細長い細胞を束ねることでつくられています。この筋線維は、さらに無数の「筋原線維」からできています。
筋原線維をクローズアップすると、「サルコメア(筋節)」と呼ばれるものがチェーンのようにつなぎ合わさっています。このサルコメアの数が増えれば、筋肉は長くなるのです。
チェーンの鎖の数が10個から15個に増えれば、チェーンの長さが長くなるのと同じ理屈で、筋肉が長くなると関節の可動域が広がり、柔軟性が上がるというわけです。つまり、体の柔軟性を上げるには、サルコメアの数を増やす必要があるということです。
都市伝説「お酢を飲むと体が柔らかくなる」は本当?
サルコメアを増やす唯一の方法は、継続的なストレッチをすること。よく「お酢を飲むと体が柔らかくなる」などといわれますが、お酢にはサルコメアを増やす効果はありません!
継続して“イタ気持ちいいストレッチ”をすると、脳は「この人は、筋肉が切れる寸前まで毎日伸ばそうとする人なんだな」と認識します。すると筋肉が切れるのを防ぐために、細胞分裂を起こしてサルコメアの数を増やそうとします。結果的に、自然と筋肉が長くなるという仕組みなのです。
次に全身の筋肉をイラスト化して紹介しました。特に柔軟性が低い筋肉を中心に、本書のストレッチを意識的にやっていきましょう。
【次回に続く】 ※本稿は、『いつでも、どこでも、1回20秒で硬い体が超ラクになる! スキマ★ストレッチ』より一部を抜粋・編集したものです。