「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、40代以降ともなれば「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれない……。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。

【91歳の医師が教える】<br />あれ?いま何しようとしてたんだっけ…<br />軽症だからこそ放置され、<br />認知症に進行する恐れを回避するPhoto: Adobe Stock

軽症だからこそ放置され、進行する恐れも

【前回】からの続き 復帰できる割合がいちばん高いのは、「非健忘型MCI単一領域障害」ですが、軽症だからこそ気づきにくいという側面もあります。

「認知症=もの忘れ」というイメージが強いのですが、非健忘型MCIは記憶障害が少ないので、本人も周囲も軽度認知障害だと気づきにくいのです。

それが単一の領域にとどまっているなら、なおさら気づきにくい。それだけに放置されやすく、油断していると、軽度認知障害から認知症へと進行してしまう恐れもあるのです。

【91歳の医師が教える】<br />あれ?いま何しようとしてたんだっけ…<br />軽症だからこそ放置され、<br />認知症に進行する恐れを回避する

「軽度認知障害」の16~41%は回復が見込める

他の信頼できる研究では、軽度認知障害全体で正常認知機能に回復できる割合を、1年で平均16~41%としているものもあります。

「人の顔は覚えているのに名前が出てこない」「モノを置いた場所がわからなくなることがある」「バスなどの公共交通機関を乗り継いで1人で外出することが難しい」「ATMで預貯金を下ろすのに苦労することがある」といった自覚があるなら、軽度認知障害の疑いがあります。

一度、病院の認知症外来(もの忘れ外来)で診察を受けて指導を仰ぐとともに、本書の内容を参考に予防しましょう。

【次回へ続く】 ※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。本書には、脳が若返るメソッドがたくさん掲載されています。ぜひチェックしてみてください!