少額短期保険の中で、少短市場の他の分野と比べると、平穏といわれる分野が「家財保険」だ。トップ争いを演じているのは東京海上グループと全管協グループ。2020年度、両者の差は約48億円だったが、果たして21年度、その差はどうなったのか。特集『動乱の少額短期保険 115社ランキング』(全5回)の#2では、少短「家財保険」ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
賃貸住宅向けの「家財保険」
単身世帯増加で緩やかに拡大
新規参入者が相次ぎ、工夫を凝らした新商品が次々に投入される少額短期保険市場。参入障壁が高く、企業の顔触れが代わり映えしない生命保険・損害保険市場とは打って変わって、まさしく動乱期を迎えている。
本特集#1では、少短として登録している全115業者について、2019年度から21年度の3期分、業績数値6指標を集計。21年度の保険料で、ランキングを作成した。(本特集#1『少額短期「保険料」総合ランキング2022【115社】光通信が買収攻勢でSBI・全管協・東京海上の“御三家”に肉薄!』参照)
本特集#2からは、少短の商品分野別ランキングをお届けする。商品分野は、「家財」「ペット」「生保・医療」「費用・その他」の4分野。#2ではその中で、主な販売商品が「家財保険」の少短業者52社を抜き出して、保険料ランキングを作成した。
実は「家財保険」は、少短市場の他の分野と比べると平穏な分野だ。
商品は主に賃貸住宅の入居者向け。火災や水災、落雷などで家具や家電が破損した場合に保険金が支払われることに加え、火災や水漏れで部屋を使えなくしてしまった場合に、部屋の所有者(大家)に対して賠償する借家人賠償責任補償が付いているものが多い。
こうした補償は、どの少短も大きな違いはない。また契約については、仲介する不動産会社が保険加入を条件としているため、消費者は賃貸借契約を結ぶ際に、家財保険の認識をあまり持たずに契約するケースが一般的だ。
そのためペット保険や医療保険などのように、消費者が比較サイトなどで徹底的に商品内容を比べることはほとんどない。そんな事情から、収入保険料や契約件数が大きく崩れることはなく、単身世帯の増加とともに、緩やかに拡大している。
次ページにランキングを掲載しているが、その前に留意してほしいことがある。
全115業者の中には、複数の分野の保険商品を販売している業者がある。しかし、多くの業者は保険分野別の保険料を公開していない。
故に、次ページのランキングに登場する業者の中で、複数の分野の商品を販売している業者は、保険料収入に「家財」以外の分野の保険料も含まれている。
例えば、「家財」と「生保・医療」の両分野の保険を販売しており、主要分野が「家財」である業者の場合は「家財」のランキングに記載されるが、表示されている保険料収入には「生保・医療」の保険料も含まれているといった具合だ。
果たして「家財保険」を販売する業者の最新序列はどうなったのか。