歴史的なドル高水準、注目されるドル安転換の時機Photo:PIXTA

歴史的なドル高水準
注目されるドル安転換の時機

 日米の金融政策格差を材料とする夏場にかけての円安狂騒曲は取敢えず一服し、海外投機筋とのバトルを取敢えず凌いだ日銀幹部は一息ついているであろう。ただ、ドル円レートは、かなりの円安水準で膠着状態にあることに変わりはなく、円の先行きを巡る不確実性は高い。

 海外投機筋が狙いを定めてきたように、内外の金利差はドル円レートに大きな影響を与える。ただ、相場を動かす要因には他にもある。資源価格高騰による対外収支の変化や、ウクライナ戦争などの地政学リスクによるリスク許容度の変化など様々あり、局面によって主役も入れ替わる。

 その中で一貫して通奏低音として作用し続けてきているのが持続的なドル高基調だ。ドルの実質実効レートの長期推移をみると、21年初からドルの増価が続いている結果、ドル高水準は、歴史的にみてもかなりの高さとなっている(図表1)。

 ドル高が今後どれだけ続くかは、ドル円相場の帰趨に止まらず、世界経済の成長の持続性という意味でも鍵を握っている。