「人前で話すのが苦手」「プレゼンで緊張してしまう」「雑談も苦手」
そんなアナタが参考にしたいのが、TBSの井上貴博アナウンサーの著書
『伝わるチカラ』(ダイヤモンド社)だ。アナウンサー歴15年で試行錯誤しながら実践してきた52のことを初公開。「地味で華がない」ことを自認する井上アナが、情報・報道番組の最前線で培ってきた「伝わらない」が「伝わる」に変わるテクニックが満載。人前で話すコツ、会話が盛り上がるテクなど、仕事のプレゼンからプライベートの雑談まで即役立つノウハウ、さらに失敗や葛藤についても赤裸々に語る。
※本稿は、
『伝わるチカラ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

能力の高さは「見た目」で判断される?<br />地味な外見は服装や小物で克服する

目的に沿って服装を変えてみる

人に伝えるときには、見た目や第一印象も大事です。髪型や服装、ネクタイやスカーフなど、自己演出できる要素はいろいろあります。

見た目の演出を考えるときには、まず目的を明らかにすることが大切です。私の場合は、どうしても地味になりがちな報道番組に明るさをもたらしたいという目的があります。

特にコロナ禍以降は、鬱々としたニュースを伝えることが続いています。ニュースの内容を大きく変えることはできないので、鬱々とした話題を扱っているときにも、視聴者の皆さんにホッとできる要素をつくりたいという狙いを持っているのです。

ほかの人と違う見た目で自己演出

具体的な方法としては、ほかのアナウンサーが身につけないような少々派手めのネクタイやシャツ、ポケットチーフを身につけるようにしています。

アナウンサーには、紺のスーツに白いシャツという堅めのイメージがあります。先輩の安住紳一郎さんも、たいていは紺のスーツを着用しています。しかし、私が同じようなスーツを着ても印象が薄いので、比較的明るめのベージュやグレーを意図的に増やしています。

毎回ベージュやグレーでは新鮮味がなくなるので、スーツ、シャツ、ネクタイを紺のワントーンで着こなすワントーンコーデにチャレンジすることもあります。

代わり映えしない服装にアクセントをつける

芸人さんがワントーンの着こなしをするケースはありますが、アナウンサーではほとんどいません。アナウンサーのワントーンコーデは目立ちます。そんなふうに、「アナウンサー=地味なスーツ」という暗黙の常識に少しずつ風穴を開けることにチャレンジしているのです。

ポケットチーフに関しては、毎回必ずスーツに挿しているので、「ポケットチーフが素敵ですね」と声をかけていただく機会も増えました。もしかすると、気づいている視聴者の方がいるかもしれませんが、ポケットチーフは少し派手めな色を選び、通常より目立つくらいポケットから出しています。

また、ネクタイピンもできるだけユニークなものをつけています。ネクタイピンは、「スーツだと毎日代わり映えしないけど、何かアクセントがほしい」というスタイリストさんとの会話から生まれたアイデアです。

ホストみたいなアナウンサー!?

最初は、少しでも視聴者の目を楽しませようと思って始めたのですが、いつの間にかネクタイピンをつけるのが自分の楽しみにもなりました。視聴者の方からネクタイピンをプレゼントしていただくこともあり、いまではストックが100個以上に増えています。

ちなみに、平日放送の最終日となる金曜日は、特に振り切ったスーツを着ることが多いです。前述したワントーンコーデにすることもあれば、色シャツに柄物のネクタイ、派手めなポケットチーフを挿すこともあります。

年配の視聴者から「このホストみたいなアナウンサーはなんだ」とお叱りを受けたこともありますが、それも織り込み済みです。

目を引く格好が“会話のきっかけ”に

また、『Nスタ』ではいつもコンタクトレンズをつけていますが、ロケに行くときはあえてメガネ姿にすることもあります。コンタクト・メガネの一方にこだわるのではなく、使い分けていけたらと考えています。

少し目を引く格好をすれば、「面白いシャツを着ていますね」と声をかけられることも多くなり、会話のきっかけができます。マンネリ化に悩んでいる人は、イメージチェンジを試す価値があります。

※本稿は、『伝わるチカラ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。ぜひチェックしてみてください!