高齢者にこそスマートスピーカーをおすすめしたい
スマートスピーカーを動かしているのは「AIアシスタント」と呼ばれる対話型のソフトウエアだ。iPhoneの「Siri(シリ)」もその一つで、人の音声を認識して、その指示を実行したり問いかけに答えてくれたりする。音声認識技術の進化により、多少早口だったり曖昧さが残ったりする問いかけもきちんと理解してくれるし、AmazonのAIアシスタント「Alexa(アレクサ)」、Googleの「Googleアシスタント」などは連携サービスや商品も増え、声だけで利用できるサービスや操作できる家電製品は多い。
そんなAIアシスタントは、認知機能や身体能力が低下している高齢者にとって、使い方次第で頼れるアシスタントになる。いや、むしろ「高齢者にこそAIアシスタント」と声を大にして言いたい。
AIアシスタント/スマートスピーカーが、高齢者の日常生活においてどんな役割を果たすのか、自然に使ってもらうためにはどういった工夫が必要なのか、実体験をもとにご紹介したい。
加齢で分からないこと・できないことが日々増えてゆくもどかしさ
私の母は編み物が趣味で、凝った作品を作っては人にあげたりしていた。それがここ1年ほど、編み始めてもすぐ中断し、ほどいてはまた編み……を繰り返すようになった。自分がどこを編んでいるのかが分からなくなり苦悩している姿をよく見る。
老いのつらさは、以前には問題なくできていたことが次第にできなくなっていくことだ。そして過渡期には、強烈なもどかしさにさいなまれる。身体面だけでなく、認知面の機能低下も加われば、もどかしさもひとしおだろう。