学生ローン1人1万ドル返済免除
大統領だけで決めた「1兆ドルの財政負担」
8月24日にジョー・バイデン大統領は、コロナ禍の緊急事態ということを根拠に大統領権限で連邦政府が提供する学生ローンについて、1人当たり1万ドルの返済を免除する方針を明らかにした。
低所得層の場合には、最大で2万ドルまでの返済を免除するという。
学生ローンの返済免除は、学費が高騰する米国で社会に出た後も長期間にわたって返済に苦しむ多くの有権者を救済しようという大統領選の選挙公約で、11月の議会中間選挙に向けて、実績を示す絶好の機会でもある。
しかし、返済免除で連邦政府の財政負担は最大で1兆ドルを超えるといわれる。
さらに苦労してローンを返済してきた人たちが不公平になるという批判や、今後も返済免除が繰り返される展開を見込んで逆に学費の高騰が加速するリスクを警戒する声もあり、共和党からはさっそく反発が広がる。
見逃せないのは、これだけ論争的な政策が、議会の承認を得ずに、大統領の判断だけで実行されようとしている点だ。