AFCチャンピオンズリーグ準決勝Photo:Etsuo Hara/gettyimages

8月に日本で集中開催されたノックアウトステージを勝ち抜いた浦和レッズが、東地区の勝者となった今シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)。西地区の勝者と対戦する来年2月の決勝で、現行制度で最多となる3度目の優勝を目指す浦和は、同時に大きな収穫も手にしている。日本円にして最低でも4億円近い収入をすでに確定させているACLの賞金体制と、浦和を含めたJクラブの経営に与えるプラス効果を追った。*文中の外貨はすべて米ドル。(ノンフィクションライター 藤江直人)

出場するのは「罰ゲーム」と揶揄されたACL

 日本ではかつて、サッカーのアジア最強クラブを決めるACLが「罰ゲーム」と揶揄(やゆ)された時期があった。

 原則として週末は日本国内のJリーグを、火曜日もしくは水曜日の平日にはACLを並行して戦っていく過程で、敵地への海外遠征を繰り返すチームが疲弊していくからだ。

 ACLを勝ち抜くためのハードルも非常に高く、道半ばで敗退した末にコンディションを崩してJリーグでも失速していく。2012シーズンのガンバ大阪、14シーズンのセレッソ大阪、18シーズンの柏レイソルが、ACLを戦ったそのシーズンでJ2へ降格している。

 しかし、二兎(にと)を追う戦いが「罰ゲーム」に映ったのは強行日程や、ホームの試合でも集客に苦戦する営業面のマイナス材料だけが理由ではなかった。アジアを制した場合の対価、すなわちアジアサッカー連盟(AFC)が用意する賞金も激戦に見合わなかったからだ。

 例えば前身のアジアクラブ選手権から現行のACLに再編された02年以降で、浦和レッズがJクラブ勢として初めて頂点に立った07シーズン。手にした優勝賞金は60万ドル、当時のレートで約6680万円だった。ちなみに、当時のJ1優勝賞金は桁が一つ多い2億円だ。

 だが、すべてを過去形で記しているように、実は現在、その賞金の額がまったく異なっているのだ。