浦和が東地区を勝ち抜き、3年ぶり4度目の決勝進出を果たした今年度のACL。西地区の勝者と対戦する来年2月の決勝を制した場合、優勝賞金だけで07年大会の約6.67倍の400万ドルを獲得する。

 優勝賞金だけではない。4月中旬に幕を開けたグループステージ、そして日本で集中開催されたノックアウトステージを戦い終えた浦和は、日本円で4億円近い賞金をすでに確定させている。

 新型コロナウイルス禍が考慮された今回のACLのグループステージは、アジア各地でセントラル開催され、1勝につき5万ドル、引き分けで1万ドルがそれぞれ支給されている。

 浦和が入ったグループFの舞台は、タイのブリーラム。山東泰山(中国)、ライオン・シティ・セーラーズ(シンガポール)、大邱(韓国)と2度ずつ対戦したグループステージで、4勝1分け1敗だった浦和は大邱に次ぐ2位で突破し、この時点でまず21万ドルを手にした。

 さらに埼玉スタジアムですべて一発勝負の形で行われた8月のノックアウトステージで、ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)とのラウンド16を5-0で快勝して10万ドルが、パトゥム・ユナイテッド(タイ)との準々決勝を4-0で制して15万ドルが加算された。

 迎えた全北現代(韓国)との準決勝。1-1のまま突入した延長戦の後半11分に勝ち越され、絶体絶命の窮地に追い込まれた浦和は、終了直前の同15分にFWキャスパー・ユンカーが起死回生の同点ゴールを一閃(いっせん)。もつれ込んだPK戦を3-1で制して、東地区の頂点に立った。

 歓喜の雄たけびを上げた浦和は、準決勝突破でさらに25万ドルを獲得。この時点で金額は71万ドルに到達し、決勝戦では優勝チームが400万ドル、準優勝チームが200万ドルの賞金をそれぞれ獲得するため、浦和は最低でも271万ドルの賞金獲得を確定させた。

 しかも、今大会のACLは試合を重ねるたびに円安が加速。プレーオフが始まった3月の時点で1ドル=115.9円だったのが、この原稿を書いている9月14日の時点で145円に迫っている。

 必然的にドル建てから円に換算された賞金額も跳ね上がり、優勝した場合の471万ドルは約6億8300万円に、準優勝の271万ドルは約3億9300万円となる。さらに賞金ではないが、ACL出場クラブに対してはJリーグから1億円の分配金が支援目的で支給される。

 ACLの賞金は鹿島アントラーズが初優勝した18年大会から現状で推移している。浦和が10年ぶり2度目の優勝を果たした17年大会までは、グループステージにおける金額は変わらないものの、ノックアウトステージ以降の金額はラウンド16で8万ドル、準々決勝で12万ドル、準決勝で20万ドル、準優勝で150万ドル、そして優勝で300万ドルだった。

 ラウンド16から順に2万ドル、3万ドル、5万ドル、50万ドル、そして100万ドルと増額されている。記録を確認できたところでは、ウェスタン・シドニー・ワンダラーズがオーストラリア勢として初めて頂点に立った14年大会の優勝賞金は、150万ドルだった。

 ここまで賞金総額が増えたのは、なぜなのか。