NTTドコモのWi-Fi専用端末「dtab」のスイッチを入れると、自社サービスを展開する「dマーケット」が浮かびあがる

「スマートフォンの楽しさや便利さを家の中に広げたい」

 1月22日、都内で開かれた春の新商品発表会で、NTTドコモの加藤薫社長は、持ち時間の3分1も割いて、ドコモ独自の新端末をPRした。

 核となるのが、ドコモ初のWi-Fi専用タブレット端末「dtab」(ディータブ)である。dtabは、10.1インチの液晶やクアッドコアCPUなどを搭載し、高機能ながら1万円を切る価格設定にし、iPadやkindleといったタブレット端末より安くした。何より、通信会社ながら通信回線をあえて外すことで毎月の通信料負担への抵抗感をなくしたのが特徴だ。

 狙いは通信料だけではなくコンテンツの収入で稼ぐということにあり、新たな戦略への転換を示している。

 戦略の肝は、スマホで提供中の「dマーケット」と呼ばれる、独自サイトのサービスにある。ここでスマホ初心者に向け音楽や映像配信、ソーシャルゲーム、インターネットショッピングなどを提供している。dtabのスイッチを入れれば、独自サイトが立ち上がるよう設定しており、自宅でもこのサービスを利用してもらおうというのだ。

 今ドコモは、dマーケットの収入を2012年度の200億円超から15年度に1000億円規模へと拡大するつもりだ。つまり、独自タブレットを各家庭へと広げ、dマーケットの利用につなげようというわけだ。

 しかしながら、どうも迷走感が漂っているのである。

 実は、dtabは基本的にドコモ利用者しか使えないもの。1万円以下で購入するには、ドコモのスマホを利用し映像サービスへ加入することが必要となる。要はドコモの利用者を囲い込むための端末に過ぎないのだ。