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ソーシャルディスラプト最前線

“都市密着型の投資と育成”でスタートアップを支援。TechStarsが考える起業成功の近道とは?

岡本彰彦 [Recruit Strategic Partners, Inc. 代表]
【第4回】 2013年1月28日
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簡単に起業ができる環境は整っているが、それゆえにどう「ゴール」するか、への理解が薄くなってきていると語る、DavidとAdam。左は筆者、岡本

岡本 ビジネスプランだけでなく、長期的なゴールも考えておかなければならない?

David ゴール自体やそれを達成したことを誰かに伝え、見せられるようにしなくてはならない。そこで最も大切なのは、そのビジョンがなぜ重要なのかを明確にすることだ。だから僕はそれぞれのビジネスにおいて、成功を導く基盤に深い理解をもつべきだと思う。美しい製品をつくることやTechCrunchで製品を発表することに注力するのではなく、ね。素晴らしい製品をつくることはスタートではあるが、それがゴールではない。もっとも大事なのは、起業というのはスタートにすぎない、ゴールではないということを理解することだ。

精密さ、清潔さ。
日本文化が誇る特徴をビジネスの武器にしない手はない

岡本 素晴らしい起業家やアクセラレーターに僕らがインタビューするのには、ふたつの目的がある。ひとつは、アメリカや世界へ進出したいと考える日本のスタートアップにあなたたちのメッセージを伝えたいから。

 もうひとつは、現在、あまり業績がよくないと言われていて、元気のない日本の大企業にアドバイスがほしいからだ。日本のスタートアップと、家電メーカーなどの悪戦苦闘している大企業にアドバイスをもらえないか?

David 日本のスタートアップへのアドバイスは、お好み焼きをアメリカにもってきてくれ、だ。

岡本 (笑)。

David 日本のスタートアップへのアドバイスは、本当に厳しい世界だが、道のりがいかに厳しいかを理解し、厳しいときを越えていけるよう準備しよう、ということだ。成功しなかったスタートアップの数に比べたら、テレビや新聞や映画に出てくる成功したスタートアップはほんのひと握りなんだ。

 また、大企業については、自分たちのビジネスのどこがもろくて、壊れやすいか理解することが大切だ。スタートアップがやってきて自分たちを壊すのを待つのではなく、自分たちの弱みを見いだせるのであれば、誰かがやる前にすぐにそれを解決すればいい。大企業の彼らは革新することはできるんだから。

岡本 日本にはアメリカ市場を狙うスタートアップもある。

Adam アメリカ市場に打って出る力のある日本のスタートアップには、日本文化を見つめる能力が必要だ。日本には、日本ならではの本当に心に響くものがいくつかある。

 これがどんなふうにアメリカ市場に転換されていくか、考えてみてくれ。たぶんなにかとても革新的なアイデアやテクノロジー、文化的伝承のようなものをもたらすだろう。ある種の日本文化は、現在アメリカで起きていることと比較してもモダンだと思うし、日本からそのような先進的テクノロジーがアメリカにもたらされれば、それはアメリカ市場に大きな反響をもたらすだろう。

岡本 お好み焼き以外で、日本の何が気に入っている?

David ディテールへの注力と日本の仕事への誇りには驚くべきものがある。全てのレストランで、料理は愛と心遣いをもって提供される。列車はスケジュール通りに走り、決して遅れない。日本には精密さがある。そして清潔さ。アメリカ文化とはあまりにも違う。完璧で美しいと思う。僕が行ったどのレストランでも、サービスは細かい部分まで気遣いに満ちていた。アメリカではそうはいかないんだよ。

 だから、その「日本であること」をアメリカ市場に転換できれば、非常にいいスタートアップになれると思うんだ。

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岡本彰彦
[Recruit Strategic Partners, Inc. 代表]

株式会社リクルートの投資会社であるリクルートストラテジックパートナーズの代表取締役として、コーポレートベンチャーキャピタルファンドを活用し、日本のみならず、北米、東南アジアをはじめとしたグローバルな投資·事業開発活動を推進する。現職就任以前は、銀行、ベンチャーキャピタル、証券会社などでストラクチャード·ファイナンスや新事業開発に従事した後、2007年にリクルートに入社し、主に同社住宅カンパニーにおける事業開発の責任者とブランドマネジャーを担当。

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Facebook、Twitterといった、いわゆる「ソーシャルネットワーク」が日々の生活にかかせないもの、あえて言えば"必須のインフラ"となったことで「ビジネス」の変化が急激に進んでいる。
電力インフラの整備が、モータリゼーションの加速が、パーソナルコンピューターの普及が、かつてビジネスの変化を決定づけたように、いま現在、「ソーシャル」はビジネスにどのような変化をもたらそうとしているのか?
実際にソーシャルを使ったビジネスで急激に成長するサービスを紹介しながら、その変化の兆しを探っていく。

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