東京六大学野球の秋季リーグが開幕。7シーズンぶりに開幕2連勝を飾った、小宮山悟監督率いる早稲田大学野球部は、夏合宿を経て一体何が変わったのか。(作家 須藤靖貴)
秋季リーグ開幕
スタートダッシュ成功の早大野球部
春季リーグ戦5位の悔しさを猛省し、夏合宿を経て秋季リーグ戦に臨んだ早稲田大学野球部。
9月10日、11日の法政戦。両日ともに快晴。風も強かった。バックスクリーンの三つの旗は常にはためき、マウンド上のピッチャーのユニホームも強風になびいていた。
2戦ともに2‐0。早稲田、連勝である。
投手陣は法政打線を零封し、打線は好機にしぶとく食らいついた。試合時間は土曜日が2時間11分、日曜日は2時間8分。3時間超えのゲームも珍しくない中、弛みのないスピーディーな展開だった。
どうしても、早稲田にはスタート下手の印象がある。力を出せないままに9回が終わってしまうのである。
開幕を連勝で飾った記憶は遠い。小宮山が監督に就任した2019年春、東大戦に連勝して以来、実に7シーズンぶりのことだ。
逆に連敗は8回中3度も。19年秋の法政戦(0‐1、0‐2)、21年秋の立教戦(0‐4、2‐5)、そして22年春の法政戦(1‐4、3‐4)。どうも開幕の法政戦には分が悪い。
これらの試合後に監督の話を聞く機会があったが、ホテルのラウンジに着席するときに「被告人席ですね」と小宮山は苦笑いしたものだ。芳しくないスタートを切り、最終の早慶戦に大逆転の目を残すような厳しい戦い方を余儀なくされてきたのだった。