ダイヤモンド決算報#食品・嗜好品Photo:PIXTA

コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はJT、明治ホールディングスなどの「食品/嗜好(しこう)品」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

「メビウス」に「味の素」…
原材料高で各社が「値上げラッシュ」

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は、以下の食品/嗜好(しこう)品業界4社。対象期間は2022年2~6月の直近四半期としている(4社とも22年4~6月期)。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・JT
 増収率:14.8%(四半期の売上収益6853億円)
・キッコーマン
 増収率:19.4%(四半期の売上収益1477億円)
・味の素
 増収率:16.4%(四半期の売上高3216億円)
・明治ホールディングス
 増収率:4.8%(四半期の売上高2471億円)

 食品/嗜好品業界では、全4社が増収という結果だった。中でも、明治ホールディングスを除く3社は2桁増収と好調。味の素は16年度以降では最高の四半期売上高を記録した。

 この4社に共通しているのは、税率アップや原材料価格の高騰を背景に、自社製品の「値上げラッシュ」に踏み切っていることだ。

 紙巻きたばこの「メビウス」、調味料の「キッコーマンしょうゆ」や「味の素」、マーガリンの「明治コーンソフト」など、直近の約1年間で値上げされた商品は枚挙にいとまがない。

 加えてJTでは、混迷を極めるロシア・ウクライナ情勢がビジネス上の大きなリスクとしてくすぶり続けている。

 そうした状況下で、4社とも着実に増収率を伸ばしているが、値上げは各社の決算にどのような影響をもたらしたのだろうか。

 次ページ以降では、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、値上げを中心とする増収要因について詳しく解説する。