ただ、1日たった5分の運動を職場に導入してもらうのに苦労することもあります。

 「そんなヒマがあるなら、仕事をしたい」

 と考える人は少なくありません。企業によっては、30分単位で目標を管理しているところもあるからです。これは、過剰な成果主義のせいです。たった5分の運動も、時間がもったいないからイヤだと言うのですから。

 でも、5分のゆとりがないなら、部下の話を聞くことも無理でしょう。こうした会社では、ケアの導入を決めた経営陣と、現場とのあいだにギャップがあるのです。企業側としては、ゆとりをもてる組織づくりをして、もっと従業員が心から理解するよう、ココロや体のケアの大切さを浸透させなければなりません。私たちカウンセラーは、通訳として両者をつなぐ仕事をすることもあります。

 また、それとは別に、管理職のみなさんには、体の機能や組織について勉強をしてもらい、なぜ運動が必要なのかを理解して、部下にも指導してもらいます。研修でココロのケアと一緒に学んでもらうのです。

 運動する習慣がついていると、運動する気持ちよさがわかりますし、運動しないことで起きる筋肉のコリなどの違和感にも気づきます。運動トレーナーの職場巡回も、研修での講義も、すべては基礎体力づくりの大切さに気づき、運動を習慣にしてもらうためのきっかけづくりなのです。リフレッシュ・トレーナーに寄せられた声には、「社員全員で体を動かすと、まわりの同僚の動作のぎこちなさや、自分の不器用さがおかしくってニコニコできる、気分転換のいい機会になる」といったものがあり、心の風通しをよくする効果もあるようです。

 そして、ストレスへの免疫力を高めるポイントとして、「栄養」も忘れてはいけません。そのために、「栄養士」も働く人のケアにはなくてはならない存在です。研修では、栄養士の先生から従業員のみなさんに、食事の大切さや正しい栄養の摂り方を講義してもらいます。たとえば、朝、時間がない、あるいは食欲がないという理由で、食事をとらない人には、

 「せめて糖分だけでも摂ってください。オレンジジュースを飲むだけでもいいですよ」

 と指導します。お腹を空かせたまま仕事をすると、脳のエネルギー不足を招いて、集中力が落ちます。糖質を含むものを口に入れれば、それを一時的に防ぐことができるのです。これは、長時間の残業をしている場合も同じです。