JR西日本は京都と奈良を結ぶ奈良線の複線化に向けた工事を進めており、来年3月には京都~城陽間20.2キロの複線化が完了予定だ。廃線議論や減便、サービス縮小など、なにかと寂しい話続きの鉄道業界だが、一方で奈良線はなぜこれほどの大改良を行うのか、そして、どのように変化していくのかを見ていきたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
JR奈良線で進む
大改造工事
日本を代表する古都である京都と奈良を結ぶJR奈良線。開通から120年超という歴史ある路線だが、並行する近畿日本鉄道(近鉄京都線・近鉄奈良線)の方が、本数が多く、所要時間は短く、運賃も安いため、両都市間の移動は近鉄利用が優位だ。
奈良線といえば単線区間を旧型車両(ただし221系は往年の名車である)が走る近郊ローカル線といった趣だったが、近年、大改造工事が進行している。それが「第2期高速化・複線化事業」である。
なにが「第2期」かは後述するとして、既に今年2月に新田~城陽間2.1キロ、5月に山城多賀~玉水間2.0キロの複線化が完了しており、現在は来年3月の供用開始に向けてJR藤森~宇治間9.9キロの整備が進められている。
これにより京都~城陽間20.2キロの複線化が完了。事業費は397億円で、うち101億円をJR西日本が、残りを京都府と沿線市町村が負担する。
廃線議論や減便、サービス縮小など、なにかと寂しい話続きの鉄道業界だが、一方で奈良線のように利用が見込める路線では引き続き改良工事が進んでいる。奈良線がなぜ、どのように変化するのかを見ていきたい。