味の素 絶好調下の焦燥#1Photo by Koyo Yamamoto

4期連続で過去最高益を見込む味の素。しかし、2022年4月に就任したばかりの藤江太郎新社長は、社員への“ダメ出し”を口にする。藤江社長の言葉や異例の役員人事、特殊部隊の創設から浮かび上がるのは、社内に漂う焦燥感だ。特集『味の素 絶好調下の焦燥』(全7回)の#1では、絶好調下で味の素が抱える焦燥に迫った。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

新社長が口にした社員のダメ出し
4期連続最高益が近づくも募る焦燥

「われわれが目指しているのは、食と健康の課題解決と『10億人』の健康寿命の延伸だ」――。

 大手食品メーカー、味の素のトップに4月に就任した藤江太郎社長は、壮大な“野望”を力を込めて語る。

 目下のところ味の素の業績は絶好調だ。2021年度決算の売上高は1兆1493億円、事業利益は1209億円となり、3期連続で過去最高益を更新した。22年度の事業利益の予想も1240億円と、4期連続の最高益をもくろむ。

 原材料高の影響で赤字に陥る食品メーカーが後を絶たない中、味の素は数少ない“勝ち組”だ。藤江社長が掲げる野望の達成を目指し、事業の滑り出しも順調だ。

 しかし、藤江社長の口から飛び出すのは社員への“ダメ出し”だ。さらに藤江社長は就任早々、“異例”となる役員人事に着手し、150人体制の“特殊部隊”も創設した。

 社長の言葉や、異例人事、特殊部隊の創設からは、絶好調下にある味の素の“焦燥”が浮かび上がる。

 次ページでは、社長が放った社員へのダメ出しの具体的な言葉と共に、味の素の焦燥を読み解く。