社労士から見て、Aの給料は妥当?

 次の日の朝早く所用で本社に出張したC所長は、総務課長に事情を説明し、D社労士と面談する約束を取り付けてもらった。

 そして翌日の午前中。C所長は甲社を訪ねてきたD社労士に、Aの件のいきさつを話し、退職しないように説得したいがどうしたらいいかを尋ねた。D社労士はC所長が持参したAの労働条件通知書と賃金台帳の内容を確認しながら、電卓を出してAの時給と1時間あたりの残業代を計算した。

<Aの労働条件> 
1日の所定労働時間:8時間 年間所定労働日数:240日
給与(月給制):基本給15万7千円 主任手当3千円 通勤手当1万円
月末締め翌月25日払い
賞与:年2回(6月及び12月)支給
<Aの月給を時給換算する方法>
(1) 1か月あたりの平均所定労働時間を計算する
 年間所定労働日数×1日の所定労働時間÷12カ月
(2) 1時間あたりの時給を計算する
 (基本給+諸手当)÷1か月の平均所定労働時間
諸手当に含まれるもの:主任手当
諸手当に含まれないもの:通勤手当
<残業代(ただし時間外手当)の計算式>
 時給×1.25倍
<Aの1カ月の平均所定労働時間> 240日×8時間÷12カ月=160時間
<Aの時給> 16万円÷160時間=1000円
<Aの1時間あたりの残業代>
 1000円×1.25倍=1250円


参考:厚生労働省 最低賃金の対象となる賃金
   川崎北労働基準監督署 割増賃金の計算方法