新たな走りと技術
ユーザーに高い満足感を与える
走り出してまず驚いたのが、アクセル操作に即応するレスポンスのよさだ。アイドリング付近の低回転域からの鋭いピックアップは、内燃エンジンだけでは到底不可能なものだといっていい。
その後の吹き上がりも軽快そのもの。トルクが分厚いからスポーティに走ることができる。しかも、コーナー進入などでいったんアクセルを戻し、再び踏み込んだ時にも速やかにトルクが立ち上がる。実に気持ちいい。アクセルを戻しても電気モーターでタービンを回し続け、通常避けられないターボラグを打ち消しているのである。
このエンジンフィーリングは、まさに未体験だった。電気の力を得て、エンジンの魅力がさらに高まったというわけだ。
フットワークも完成度が高い。いい仕上がりである。乗り心地は悪くないし、操舵に対する応答性は正確。心地よい旋回性はリアホイールステアの貢献も大きいはずだ。
ハイパフォーマンスカーのダウンサイジングは、性能だけの問題ではない。高い趣味性を保つことも重要な要素となる。さすがはAMG。新型C43・4MATICは、職人の技と最新テクノロジーを用いて、その難問を見事に解決した。
新型は新たな走りと技術が、ユーザーに高い満足感を与えるリアルスポーツセダンである。
(CAR and DRIVER編集部 報告/島下泰久 写真/Mercedes-AMG)