東京都の強引な「太陽光パネル設置義務化」に専門家が訴えたい誤解と実態写真はイメージです Photo:PIXTA

東京都が戸建てを含む中小規模新築建物における太陽光パネル設置義務を打ち出した。2025年4月から大手住宅メーカーに対して、都が定める指針に基づいた措置を講じ、環境負荷低減に努めることが求められる。都内では年間約4.5万件の新築建物があり、そのほぼ半数が対象となる。果たして都民にはどのような影響が出るか、新築戸建ての施主として注意するべきことは何か、太陽光発電の販売・施工などに20年間携わり、現在、太陽光発電を含むエネルギーソリューション事業を営む小島盛利氏に聞いた。(聞き手/ルポライター 吉村克己)

東京都は制度に対する説明不足

――東京都が新築一戸建て住宅に太陽光パネルの設置を義務付けることを発表しましたが、20年間太陽光発電業界に携わってきた小島さんはどのように評価されますか。

東京都の強引な「太陽光パネル設置義務化」に専門家が訴えたい誤解と実態小島盛利氏

 都内のCO2排出量の約7割(家庭部門は3割強)が建物におけるエネルギー使用に起因しており、ゼロカーボン社会に向けて住宅ごとにエネルギーを作り出そうという施策は意味があると思います。

 私が20年間太陽光発電に関わり続けているのも、何もないところから電気が生まれる不思議さに夢を感じたからです。資源のほとんどない日本で、太陽光発電は唯一、一般市民が参加できるエネルギー源なのです。

 しかし、残念ながら全国各地にソーラー発電施設が建設され、一部の不良施行で土砂崩れが引き起こされたり、近隣住民への反射光被害、あるいは景観問題などから太陽光発電に対するネガティブなイメージが強まってきました。太陽光発電普及に力を尽くしてきた私としてはつらいところです。

 そうした中で、東京都側が都民に十分な説明をしないまま強引に義務化を進めることには疑問を感じています。まだまだ太陽光発電の実態や今回の施策の中身が都民に伝わっておらず、不安を感じている方々も多いでしょう。