10月12日、マイクロソフトはWindows 11の写真アプリからアップルのiCloud写真に直接アクセスできるようになること、および、2023年にApple MusicとApple TVアプリがマイクロソフトストアからダウンロード可能(こちらはWindows 10環境でも利用可で年内にベータ版が配布予定)になることを発表した。すでにApple Musicアプリは、意外にもマイクロソフトのゲーミングコンソールであるXboxで利用可能となっているが、特にiCloud写真のインテグレーションはアップルの協力なしには実現せず、Apple MusicとApple TVアプリに関しても、あえてマイクロソフト側から発表されるのは異例といえる。こうした両社の協力関係は、何を意味しているのだろうか?(テクノロジーライター 大谷和利)
Windowsパソコン+iPhoneというユーザーは多い
マイクロソフトが自社のプラットフォームでアップルのサービスやアプリを使えるようにしている背景には、iPhoneの存在がある。消費者にとって、メインのコンピューター環境はなかなか変更しにくいものだが、音楽プレーヤーのiPodのときからWindowsユーザーにとってもApple製品は気になる存在となった。そして今では、「コンピューターはWindowsでもスマートフォンはiPhoneを使っている」というユーザーが大勢いる。
このことは、アメリカにおけるiPhoneのアクティブユーザー数がAndroidを超えて過半数を占めたことからも分かる。Macintoshの売れ行きが世界的に好調で、2022年第3四半期のシェアが1年前と比べて4割も増加して13.5%になった(IDC調べ)とはいえ、MacユーザーのみがiPhoneを使っているのでは、過半数という数字は達成できない。かつては、iPhoneを利用するためにMac環境が必須だったが、今ではスタンドアローンでも利用できるため、それがiPhoneのアクティブユーザー数を押し上げているのだ。
ただし、iPhoneとコンピューターの間でデータの共有をするなど、両者の連携を考えるとやはりMac環境との組み合わせのほうが有利である。実際には、これまでもiCloud写真は、Windows環境でもiCloudアプリをインストールすることで利用できたのだが、システムとの統合度という点で不便さは否めなかった。