転職に迷ったときにするべき2つの質問

サラタメ:これを大前提として、転職にベストなタイミングについてですが、

理想】「自分の市場価値は、この会社ではこれ以上伸ばせない」と思えたとき
現実】転職したあとの「最悪の展開」をイメージして、許容範囲内だと思えたとき

 という2つの視点で考えるのがオススメです。

 理想でいえば、やっぱり「この会社でやれることは全部やりきった!」と思えるタイミングがベストだと思います。

 もうこの会社で市場価値が上がることはないから、次の会社でフィールドを広げていこう、と。

――「やりきった! 次のステージに行くぞ!」と思えるタイミングで辞められれば、悔いもなさそうですね。

サラタメ:とはいえ、こんなふうに美しく決断できる人ばかりではないのが現実ですよね。

 どうしても「まだやれることがあるんじゃないか」と思ってしまうし、愛着がある組織であればあるほど、離れるのには抵抗がある。

「チャレンジするより安定を」と、変化が怖くなってしまう人も多いと思います。

 なので、「できることは全部やった」という確信は持てないけれども、一歩踏み出してみたいという場合は、「転職したあとの最悪のケースをイメージする」のがオススメです。

 たとえば私の場合は、転職するとき、年収が最大50万円ほど下がる可能性がありました。

 もちろん収入が下がることに抵抗がないわけではなかったのですが、それよりも当時の会社に残るリスクのほうが、私にとっては大きく見えた。

 いろいろとシミュレーションし、最悪のケースも許容範囲内だったので、私は転職を決意しました。

――なるほど。どうしても、「転職して失敗したらどうしよう」と、チャレンジしたあとのことにばかり頭が行って不安になってしまいがちですが、当然、会社に残るリスクもありますよね。

 やっぱり、一つの会社に居続けると、市場価値は頭打ちになるものなのでしょうか

サラタメ:限界がくる可能性は高いと思います。

 もちろん、同じ会社の中でも、たとえば営業からマーケティングに職種を変えるなど、幅を広げることはできますが、ずっと同じ部署で、ずっと同じ取引先とばかり仕事し続けるのはちょっと危ない。

 同エリアで同職種の仕事をずっと続けている、いわゆる「転職童貞」な人は、市場価値が徐々に目減りしていきます。

 採用担当者側の視点から考えると、ずっと同じ仕事ばかりしている人って、再現性があるのかどうかわからないんですよね。

 自社でスキルを活かせるイメージが湧かないから、わざわざリスクをとって採用したいと思えない。

 あまりに短期間で転職しまくっているのもよくないですが、40代で1社しか経験していない、となると、実力があったとしても、「染まりすぎていてミスマッチするんじゃないか」と懸念してしまう。

 なので私は、「転職できる」というのも一つのビジネススキルと考え、積極的に転職活動に取り組むのがいいんじゃないかと思っています。

――転職も一つのスキルですか、なるほど。ありがとうございます。

 今回のお話、すごく勉強になりました。

 長く続けていると徐々に環境に慣れて、変化を起こすのが怖くなってしまいますが、一度転職活動をして客観的に判断してみるのが大事なんですね

サラタメ:そうですね、どんなに嫌な仕事でも、結局人の役に立ってしまえば、意外とやりがいを感じちゃったりするものですから。

 良くも悪くも、だんだん好きだと誤解するようになるというか……本当に好きになってしまうこともあるんでしょうけどね。

 だからこそ、今の仕事に迷いを感じるのなら、どこが嫌でどこが許せるのか、細かくネチネチと分析するのが重要なんだと思います。

シン・サラリーマン』の中でも具体的に書いていますが、ちゃんと納得のいく内定先を見つけるには、転職活動には最低でも6ヵ月程度かかります。

 迷っているのなら、まずは情報収集や応募書類の作成などをはじめてみて、自分と向き合う時間をつくるのがオススメです。

(本原稿は、話題沸騰のサラタメ著『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン──名著300冊から導き出した人生100年時代の攻略法』の内容をもとに、新たに著者がインタビューを受けたものです)