法政大に連勝して勝ち点を挙げた早稲田大野球部は絶好のスタートを切ったものの、その後の明治大戦で連敗。後がなくなった小宮山監督はどのような采配を見せたのだろうか。(作家 須藤靖貴)
明治大に連敗
負けられない戦いの東大、立教大戦は?
秋季リーグ戦優勝のために、もう負けられない早稲田大野球部。
明治に連敗を喫した直後に、小宮山悟監督はこう語っていた。
「(早稲田が)東大、立教に勝ち、早慶戦で勝ち点を取ったほうが優勝。そういう展開に持ち込みたい」
まさにそうなったのである。
東大に連勝して臨んだ立教大戦。
秋が深まる10月15日(土)の1回戦は4-2で早稲田の勝ち。2-2で延長戦に入り、延長10回表に早稲田が2点の勝ち越し。しぶとく先勝を物にした。
開催のアヤもあった。前日の10月14日(金)、神宮球場ではプロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ・ファイナルステージが行われ、ヤクルトスワローズが阪神タイガースを下して日本シリーズ出場を決めた。もしこの日に阪神が勝っていれば、15日の神宮球場ではヤクルト-阪神のナイターが開催された。その影響で東京六大学野球の試合は規定により延長に入らないのだった。
2回戦は立教に2点先制されながら、7回裏に同点に追いつき、8回裏に1点を取り切って逆転勝ちを収めた。
2日間ともに穏やかな秋の陽気ではあったが、じっと観戦していると知らぬ間に体も冷えてくる。特に神宮球場の2階席は風が良く通り、首をすくめるほど。だが2日間ともにその寒さを忘れるくらいに、緊張感みなぎるゲームだった。
2試合に共通していたのは「小宮山イズムの徹底」である。