ホテルの新・覇者#1写真:マリンプレスジャパン/アフロ

西武ホールディングス、近鉄グループホールディングス、小田急電鉄など電鉄大手が相次いでホテル売却に動き、外資系投資ファンド勢はこぞって買い姿勢を見せる。にもかかわらず、西武グループによる31施設の大量売却は、売却価格がつり上がるどころか「破格の安値」で決着した。特集『ホテルの新・覇者』(全18回)の#1では、電鉄系ホテル売却からホテルビジネスの構造変化に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

西武、近鉄、小田急が
ホテル売却にかじを切った

「破格の安値だね」

 西武ホールディングス(HD)が6月、東京・芝公園にある「ザ・プリンス パークタワー東京」をはじめホテルやゴルフ場など国内31施設を外資系ファンドに1471億円で売却した。ファンドや不動産の関係者は、その売却価格が安かったことに注目した。

 鉄道会社はこれまで、本業の鉄道が安定収益を生んできた。それがコロナ禍で打撃を受け、財務は悪化。西武HDのみならず、近鉄グループホールディングス(GHD)や小田急電鉄など大手電鉄は相次いでホテルの売却にかじを切った。

 では、なぜ西武HDによる大量売却は安値になったのか。

 次ページでその真相を明らかにするとともに、電鉄系ホテルの買い手として手を挙げる外資系投資ファンドの最新事情を明らかにする。